請求書の書き方|適格請求書(インボイス)に必要な6項目と実務で足す項目、取引別の型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

毎月末になると、取引先ごとに請求書を作り直している。金額は合っているのに、様式や項目の並びだけが会社ごとに違う。請求書をいまも自分の手で作っている経営者に向けて書いています。取引先が増えるほど、毎月の半日ぶんが請求書づくりに消えていきます。

結論からお伝えします。請求書で迷う原因は、書く項目が多いことではなく、法律が決めた項目と、会社の都合で入れている項目が混ざっていることです。前者は消費税法が具体的に定めていて、書き方に迷う余地がありません。後者は自社で決めるもので、取引先ごとに違ってもかまいません。この2つを分けずに毎回ゼロから考えるので、時間がかかります。この記事では、適格請求書(インボイス)に必要な6項目、実務で足す項目、取引別の型3種をまとめました。AI(Claude)にコピーして使えるプロンプトもご紹介します。

請求書づくりでつまずく3つのパターン

請求書は毎月出すものなので、慣れているはずの書類です。それでも月末に時間が溶けるのは、毎回すこしずつ違う判断をしているからです。

つまずき会社で起きること直し方
取引先ごとに様式がばらばら相手の指定様式に合わせて作り直すうちに、自社の控えと項目が食い違い、あとで突き合わせに時間がかかった自社の型を1つ決め、相手の指定はその型に項目を足す形で吸収する
法律の項目と社内の項目が混ざる振込先や支払期限まで「法律で決まっている」と思い込み、取引先から様式変更を頼まれたときに断ってしまった消費税法が定める項目と、自社の都合で入れている項目を分けて一覧にする
月末にまとめて作る納品のたびに残したメモが手元になく、1か月ぶんの作業内容を思い出しながら書くことになった納品や作業の終わりに1行だけ記録を残し、月末はそれを並べるだけにする

3つに共通するのは、請求書を「書く作業」だと思っている点です。実際に時間を食っているのは、何を請求するかを思い出す作業と、この項目は必須なのかを毎回考え直す作業のほうです。

請求書には2種類ある

書き方を決める前に、その請求書が適格請求書(インボイス)なのかどうかを確かめてください。ここが決まると、書かなければならない項目が決まります。

種類出せる人書く項目
適格請求書(インボイス)税務署に登録した適格請求書発行事業者消費税法が定める6項目(下の見出しで一覧にしました)
適格請求書ではない請求書登録していない事業者法律が項目を定めていない。自社と取引先の間で決める

消費税法第57条の4第1項は、適格請求書発行事業者の義務として次のように定めています。「適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行つた場合において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下第五十七条の六までにおいて「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。」(出典=e-Gov法令検索・消費税法。読みやすさのため括弧書きの一部を省きました)。

ここで読み取っておきたいのは「交付を求められたときは」の部分です。取引先から求められて初めて交付の義務が生まれる書き方になっています。そして同じ条文は、この書類を「請求書、納品書その他これらに類する書類」と呼んでいます。請求書という名前の紙でなければならない、とは書かれていません。

自社が登録事業者かどうか、取引先との関係でどちらの形にするかは、売上の規模や相手方の事情で変わります。個別の判断は税理士に確認してください。この記事では、登録済みで適格請求書を出す場合の書き方を扱います。

適格請求書に必要な6項目

消費税法第57条の4第1項が定める記載事項は6つです。数が決まっているので、毎回考え直す必要がありません。条文の文言と、実際の請求書での書き方を並べます。

#条文が求めているもの請求書での書き方
1適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号自社名と登録番号(T+13桁)。会社の登録番号は法人番号にTを付けたもの
2課税資産の譲渡等を行つた年月日納品日や作業日。一定期間分をまとめるときは「2026年9月1日〜9月30日」のように期間で書く
3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(軽減対象の場合はその旨)品名やサービス名。8%対象の品がある場合は、その行に対象であることが分かる印を付ける
4税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率10%分の小計と8%分の小計を分け、それぞれに税率を書く
5消費税額等税率ごとに区分した消費税額。小計ごとに1回だけ計算する
6書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称取引先の会社名。宛名を空欄のまま出さない

条文が「税率の異なるごとに区分して」と繰り返しているとおり、4と5は税率ごとに分けることが求められています。10%だけの取引であれば、10%の小計と消費税額がそれぞれ1行あればその形になります。

小売業など、政令で定める事業については、同条第2項が適格簡易請求書という簡略な書き方を認めています。こちらは6項目のうち宛名(6)が不要で、5も「消費税額等又は適用税率」とされています。ただし、どの事業がこれに当たるかは政令の定めによります。自社が該当するかは税理士に確認してください。

値引きや返品があったときについては、同条第3項が適格返還請求書を定めています。また第4項は、記載事項に誤りがあった場合の定めを置いています。「修正した適格請求書」を交付しなければならないとされています(出典=e-Gov法令検索・消費税法)。出し直しの形が法律に書かれているので、間違いに気づいたときの手順を社内で決めておくと迷いません。

もう1つ、同条第6項は交付した書類の写しまたは電磁的記録の保存を求めています。出しっぱなしにせず、控えを残す前提で作るということです。PDFで送っているなら、送った現物をそのまま残す形にしておくと後で困りません。

法律の6項目のほかに、実務で足す項目

請求書に入っている項目のうち、法律が求めているのは前の見出しの6つだけです。それ以外は自社が決めて入れているもので、取引先ごとに変えてかまいません。ここを分けておくと、様式変更を頼まれたときに何を守ればよいかが分かります。

実務で足す項目入れる理由決めておくこと
請求書番号問い合わせのときに1本で特定できる採番の規則(年月+連番など)を1つ決める
請求日・締め日相手の支払サイクルに乗せるため取引先ごとの締め日を一覧にしておく
支払期限入金の遅れに気づけるようにするため「締め日の翌月末」のように取引条件から決める
振込先相手が振込作業をその場で終えられる口座は1つに固定し、変更時の連絡手順も決めておく
振込手数料の負担端数の食い違いを防ぐため契約や見積の段階でどちらが負担するかを決める
担当者名・連絡先金額の質問を経営者に集めないため請求の窓口になる人を1人決める

このうち入金に効くのは支払期限です。期限が書かれていない請求書は、相手の社内で優先順位が付きません。期限を入れておくと、過ぎたときに催促する理由がこちらに生まれます。

期限を過ぎたあとの伝え方は入金の催促メールの書き方にまとめています。請求書を出す段階で期限を決めておくと、催促の文面も短く済みます。

請求書に添える送付状の項目は送付状の書き方で、請求の前工程にあたる発注書は発注書の作り方でご紹介しています。注文から入金までを同じ型でそろえると、突き合わせが楽になります。

そのまま使える型3種(取引別)

取引の形で、書く中身が変わります。3つとも、上の6項目は共通で入っています。違うのは日付の書き方と、明細の並べ方です。

型1|月締めでまとめて請求する(継続取引)

そのまま使える型1

請求書

請求書番号:2026-09-014
請求日:2026年9月30日
株式会社◯◯◯◯ 御中

合同会社△△△△
登録番号:T0000000000000
担当:(氏名)/(電話)/(メール)

下記のとおりご請求申し上げます。
対象期間:2026年9月1日〜2026年9月30日
お支払期限:2026年10月31日

─────────────
明細
9/5  ◯◯◯◯ 一式      100,000円(10%)
9/18 ◯◯◯◯ 一式       50,000円(10%)
─────────────
10%対象 小計      150,000円
消費税額(10%)     15,000円
─────────────
合計             165,000円

お振込先:◯◯銀行 ◯◯支店 普通 0000000
名義:△△△△
※振込手数料は御社にてご負担をお願いしております。

型1は、対象期間を書くところが要点です。条文は、一定の期間分をまとめて作成する場合には、その期間を書く形を認めています。毎日の納品日を並べなくても、期間で足ります。

型2|8%と10%が混ざる(軽減税率あり)

そのまま使える型2

(宛名・自社情報・登録番号は型1と同じ)

対象期間:2026年9月1日〜2026年9月30日
お支払期限:2026年10月31日

─────────────
明細
9/8  ◯◯◯◯(飲食料品)※  30,000円
9/8  ◯◯◯◯ 配送料       5,000円
9/22 ◯◯◯◯ 一式        80,000円
─────────────
※印は軽減税率(8%)対象

8%対象 小計        30,000円
消費税額(8%)       2,400円
10%対象 小計       85,000円
消費税額(10%)      8,500円
─────────────
合計             125,900円

型2の要点は、印を1種類だけ使うことです。軽減税率の対象に※を付け、その意味を1行で説明します。税率ごとの小計と消費税額を分けて並べると、条文が求める形になります。どの品が軽減税率の対象になるかの判断は税理士に確認してください。

型3|1回きりの取引(都度請求)

そのまま使える型3

(宛名・自社情報・登録番号は型1と同じ)

件名:◯◯◯◯の件
作業日:2026年9月12日
お支払期限:2026年10月15日

─────────────
明細
◯◯◯◯(作業内容を1行で)  200,000円(10%)
─────────────
10%対象 小計      200,000円
消費税額(10%)     20,000円
─────────────
合計             220,000円

見積書番号 2026-08-003 に基づくご請求です。

型3は、最後の1行を必ず入れてください。見積のどれに対する請求かが書いてあると、相手の社内で承認が通りやすくなります。金額の食い違いに気づくのも、この1行があるときです。

AIに下書きさせるプロンプト3種

請求書そのものは会計ソフトが作ります。AIに任せるのは、その前後にある「思い出す作業」と「見比べる作業」です。3つとも、Claudeの画面にコピーして使えます。

プロンプト1|作業メモから明細の下書きを作る

あなたは経理の実務担当です。
下の作業メモから、請求書の明細行の下書きを作ってください。

【条件】
・1行=「日付/内容/金額/税率」の4項目
・メモに金額が無い行は、金額を空欄にして「要確認」と書く
・金額の計算はしない。メモに書かれた数字だけを使う
・軽減税率かどうかは判断しない。判断が要る行に「税率要確認」と付ける

【出し方】
・表にする
・最後に「要確認」の行だけをもう一度並べる

【作業メモ】
(ここに貼る)

プロンプト2|自社の型に足りない項目を洗い出す

あなたは経理の実務担当です。
下の請求書の下書きに、抜けている項目が無いかを確認してください。

【必ず入っているか見る項目】
1. 自社名と登録番号
2. 取引の年月日、または対象期間
3. 品名やサービス名(軽減税率の対象があればその印)
4. 税率ごとに区分した小計と、適用税率
5. 税率ごとに区分した消費税額
6. 相手の会社名(宛名)

【出し方】
・「項目/有無/書かれている内容」の3列の表
・無い項目だけをもう一度並べる
・文面の書き直しはしない。足りないものを指摘するだけにする

【請求書の下書き】
(ここに貼る)

プロンプト3|納品の記録と請求書を読み合わせる

あなたは経理の実務担当です。
下の2つを読み比べて、食い違っているところを並べてください。

【出し方】
・「番号/納品の記録/請求書の記載/気づいた点」の4列の表
・直し方の提案はしない。食い違いを並べるだけにする
・片方にしか無い行は「片方のみ」と書く

【納品の記録】
(ここに貼る)

【請求書の下書き】
(ここに貼る)

3つとも「計算をしない」と書いてあります。金額の計算は会計ソフトの仕事で、AIに任せる部分ではありません。見積書と請求書でAIに任せる範囲と任せない範囲の切り分けは見積書・請求書づくりをAIに任せる方法でご説明しています。

狙ったものが出てこないときは、条件を足すより先に、貼った作業メモの中身を見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。

AIに任せてはいけないこと

任せてよいこと人が決めること
作業メモから明細行の下書きを作る何をいくらで請求するか
下書きに6項目がそろっているか確認する登録番号や口座の数字が正しいか
納品の記録と請求書を読み合わせ、食い違いを並べる食い違いをどちらに合わせるか
取引先ごとの締め日と支払期限を一覧にする支払条件を変えるかどうか(取引先と決める)
自社の型を、相手の指定様式に並べ替える軽減税率の対象かどうか(税理士に確認する)

気をつけたいのは、請求書をそのまま貼ることです。そこには取引先の会社名、担当者名、口座番号、取引単価が並んでいます。型を整えたいだけなら、会社名を伏せて金額を仮の数字にした下書きで足ります。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。

もう1つ、消費税の扱いをAIに決めさせないでください。どの取引が軽減税率の対象か、自社がどの区分に当たるかは、事業の中身と売上の状況で変わります。書面を整える作業と、税の扱いを決める判断は、別の人が担当する仕事だと考えてください。判断が要る場面は税理士に確認する範囲です。

まず、1社ぶんの型を決めてください

全取引先ぶんの様式をそろえてから始めると決めると、手が止まります。次の月末に、いちばん取引の多い1社ぶんだけ型1を当てはめてみてください。

1社ぶんで通れば、残りは宛名と明細を入れ替えるだけです。請求書に時間がかかる原因は、書く中身ではなく、毎回どの形にするかを決め直していることです。

型が決まったら、取引先ごとの締め日と支払期限を1枚の表にしてください。月末に思い出す作業がここで消えます。翌月からは、その表を見ながら明細を並べるだけになります。

領収書や経費の整理も、月末にまとめないほうが早く終わります。同じ考え方は領収書・経費精算の整理をAIに任せる方法でご紹介しています。

請求書のような事務は、店舗や拠点が増えるほど人によって形が変わっていきます。複数店舗の事務作業を1か所に集約したのが小売業様の事例(CASE 01)です。同じ書類を誰が作っても同じ形になるところから始めました。

請求書のほかにどの仕事から手をつけるか迷う場合は、AIに任せられる仕事の一覧を部署ごとに並べています。総務と経理の仕事だけでも、下書きまでを任せられるものがいくつも見つかります。

経営者の頭のなかにあった請求の決まりを、会社の側に残していく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

月末に経営者が抱えている事務を
30分で一緒に洗い出します。

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