見積書の書き方|入れる10項目と「一式」「有効期限」の決め方、場面別の型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

相見積もりだと言われて急いで作り、金額だけを並べた紙を出してしまう。あとから「その作業は入っていたのか」という話になる。ひな形は手元にあるのに、自社の仕事に当てはめる段で手が止まります。見積書をご自分で書いている経営者に向けて書いています。

結論からお伝えします。見積書で揉める原因は、書式ではありません。どこまでが値段に入っているかを、紙の上で決めていないことです。範囲が決まっていれば、見積書そのものは15分で書けます。決まっていないまま金額を出すから、あとで追加の話がこじれます。この記事では、見積書が取引のどこに立つ紙なのかを整理します。入れる10項目、「一式」と有効期限の書き方、場面別の型3種もまとめました。AI(Claude)にコピーして使えるプロンプトもご紹介します。

見積書でつまずく3つのパターン

見積書は急かされて作ることが多い書類です。早く出すことを優先すると、あとで効いてくる部分から順に抜けます。よくある3つを並べます。

つまずき会社で起きること直し方
金額だけを書いて出す「この作業も当然入っていると思った」と言われ、追加分を請求できないまま引き受けた金額の下に、含むものと含まないものを分けて書く。含まないほうを先に書くと抜けにくい
有効期限を書かない3か月前に出した見積で発注が来た。仕入値が上がっていたが、断る理由を出せなかった作成日と有効期限を必ず入れる。材料の値動きが大きいものは短くする
過去の見積が探せない同じ取引先に去年いくらで出したか分からず、担当者の記憶で値段を決めてしまった出した見積を日付と取引先の名前を付けて1か所に置く。金額は本文に書かず番号で引く

3つに共通するのは、見積書を「金額を伝える紙」だと思っている点です。実際には、値段と一緒に仕事の範囲を決める紙です。範囲が書いていない見積書は、あとで必ずその部分を話し直すことになります。

見積書は取引のどこに立つ紙か

見積書・発注書・請求書は、同じ取引の別の場面で出す紙です。どの紙で何が決まるのかを知っておくと、書く中身が決めやすくなります。

書面出すタイミングその紙で決まること
見積書相手が発注するかどうかを決める前金額と、仕事の範囲・期間・条件
発注書(注文書)相手が発注すると決めたときどの見積の条件で頼むか
納品書物や作業を引き渡したとき何をいつ渡したか
請求書代金を請求するときいくらを、いつまでに、どこへ支払うか

見積書は、この流れのいちばん先頭にあります。ここで書いた条件がそのまま後ろの3枚に引き継がれるので、見積の段階であいまいにした部分は、請求の段階まで残ります。

契約そのものについて、民法は次のように定めています。

民法 第522条(契約の成立と方式)

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示
(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、
  書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

(出典:e-Gov法令検索「民法」)

条文が言っているのは、契約は「申込み」と「承諾」がそろったときに成立し、書面そのものは成立の条件ではないということです。つまり見積書は、契約に必ず要る紙ではありません。それでも書くのは、あとで条件を確かめ合える形にしておくためです。

もうひとつ、有効期限に関係する条文があります。

民法 第523条(承諾の期間の定めのある申込み)

承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。
ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。

2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を
  受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

(出典:e-Gov法令検索「民法」)

自社の見積書が法律上の「申込み」に当たるのか、それとも見積を出しただけの段階なのかは、書き方と取引の実態で変わります。ここは案件ごとの判断になるので、金額の大きい取引や継続する取引の書式を決めるときは、弁護士にご確認ください。この記事では、実務で揉めないための書き方だけを扱います。

見積書に入れる10項目

見積書の書式を法律が決めているわけではありません。下の10項目は、入っていないと実務で困るものを並べたものです。前半6つはどの見積書にも入れます。後半4つは、入れておくと話が早く終わります。

#項目書くときの注意
1表題(御見積書)あとで探すときの手がかりになるので、ファイル名にも同じ語を入れる
2宛先(取引先の正式名称)「御中」と「様」を混ぜない。会社宛なら御中、担当者名まで書くなら様
3自社の名称・住所・連絡先質問の連絡先を書く。代表番号だけだと折り返しが届かない
4作成日と見積番号番号は「年月+通し番号」で十分。過去の見積を引くときの鍵になる
5合計金額(税込・税抜の別)表の中だけでなく、上部にも大きく1回書く。相手が最初に見る数字
6内訳(品名・数量・単位・単価・金額)数量と単位を必ず入れる。「一式」だけの行を作らない
7有効期限作成日から何日、または「◯年◯月◯日まで」。材料費が動くものは短く
8含まないもの(見積範囲外)含むものより先に書く。ここが揉めごとをいちばん減らす
9納期・作業期間「発注後◯営業日」の形にする。日付で書くと期限切れになる
10支払条件締め日と支払日、振込手数料の負担。請求書の段で言い直さずに済む

抜けやすいのは8番です。含むものは相手も想像できますが、含まないものは書かないかぎり伝わりません。例として「既存設備の撤去費」「現地調査の交通費」「試験運用の立ち会い」などです。自社が毎回サービスで付けているものほど、はっきり書いておく価値があります。

見積が通ったあとに出す発注書の書き方は発注書の作り方に、代金を請求する段の書き方は請求書の書き方にまとめています。3枚で同じ項目名を使うと、社内の確認が速くなります。

「一式」と有効期限の書き方

見積書でいちばん質問が来るのが、この2つです。

「一式」は、使ってはいけない言葉ではありません。数えられないものをまとめるときには要ります。問題になるのは、一式の中身がどこにも書いていないときです。書き方を3つ並べます。

書き方向いている場面
一式を使わない配線工事 15m 単価◯◯円数量で数えられるもの。いちばん揉めない
一式+注記で中身を書く現地調査一式 ◯◯円(※調査・写真撮影・報告書の作成を含む)まとめて請けるが、中身は決まっているもの
一式+別紙で内訳を出す内装工事一式 ◯◯円(内訳は別紙のとおり)行数が多く、表に収まらないもの

有効期限は、材料費と人手の動きやすさで決めます。目安は、仕入れが日々動くものなら2週間です。価格が安定しているサービスなら、1か月から3か月という置き方をしている会社が多いです。大事なのは日数そのものではなく、期限を過ぎたら出し直すと決めておくことです。

期限を書いていない見積書が残っていると、半年前の金額で発注が来たときに断る理由を作れません。「その時点の価格でお出しした金額です」と書いた1行があるだけで、出し直しの相談を切り出せるようになります。

そのまま使える型3種(場面別)

角カッコの中を自社の言葉に入れ替えれば、そのまま使えます。3つとも、金額の下に範囲を書く形にしてあります。

型1|作業を請ける場合(工事・修理・施工)

御見積書

[取引先名]御中

                  [自社名]
                  [住所]
                  TEL [   ]/担当 [   ]

見積番号 [2026-09-001]
作成日  [2026年◯月◯日]
有効期限 [2026年◯月◯日](作成日から30日)

件名:[◯◯の改修工事]

お見積金額 ¥[     ]-(税込)

【内訳】
 1. [    ]  [数量][単位]  単価[  ]円  [   ]円
 2. [    ]  [数量][単位]  単価[  ]円  [   ]円
 3. 現場管理費   一式                [   ]円
                   小計       [   ]円
                   消費税      [   ]円
                   合計       [   ]円

【この見積に含むもの】
 ・[    ]の施工および施工後の清掃
 ・工事に伴う[    ]の運搬

【この見積に含まないもの】
 ・既存設備の撤去および処分
 ・[    ]の補修(着工後に必要と分かった場合は別途お見積りします)
 ・現場までの駐車料金

【工期】発注確定後 [◯]営業日以内に着工、着工から[◯]日
【支払条件】[月末締め翌月末払い/完了後◯日以内] 振込手数料は貴社にてご負担ください

型2|継続して請ける場合(保守・運用・顧問)

御見積書

[取引先名]御中

                  [自社名]
                  [住所]
                  TEL [   ]/担当 [   ]

見積番号 [2026-09-002]
作成日  [2026年◯月◯日]
有効期限 [2026年◯月◯日](作成日から60日)

件名:[◯◯の保守運用]

お見積金額 月額 ¥[     ]-(税込) ※初期費用 ¥[   ]-(税込)

【内訳】
 1. 初期設定    一式               [   ]円
 2. 月額保守    [ ]か月  単価[  ]円   [   ]円
  (※上の合計は[ ]か月ぶんの金額です)

【月額に含むもの】
 ・平日[◯時〜◯時]のお問い合わせ対応(回数の上限なし)
 ・月[◯]回の定例報告

【月額に含まないもの】
 ・現地対応(1回あたり[  ]円/交通費実費)
 ・[    ]の新規制作
 ・他社製品の不具合の切り分け

【契約期間】[◯]か月(以後、申し出がなければ同条件で自動更新)
【支払条件】毎月[◯]日締め、翌月[◯]日までにお振り込み

型3|物を納める場合(仕入れ・製作・販売)

御見積書

[取引先名]御中

                  [自社名]
                  [住所]
                  TEL [   ]/担当 [   ]

見積番号 [2026-09-003]
作成日  [2026年◯月◯日]
有効期限 [2026年◯月◯日](作成日から14日)
 ※材料価格の変動があるため、期限を短くしております。

件名:[◯◯の納入]

お見積金額 ¥[     ]-(税込)

【内訳】
 1. [品名・型番]  [数量][単位] 単価[  ]円  [   ]円
 2. [品名・型番]  [数量][単位] 単価[  ]円  [   ]円
 3. 送料                        [   ]円

【この見積の前提】
 ・上記数量をまとめてご発注いただく場合の単価です
 ・納入先は[    ]の1か所とします

【この見積に含まないもの】
 ・開梱および設置作業
 ・既存品の引き取り

【納期】発注確定後[◯]営業日(メーカー在庫がない場合は別途ご連絡します)
【支払条件】[    ]

3つとも、「含まないもの」を必ず立てています。ここに何も書けないときは、範囲がまだ決まっていない合図です。出す前に、社内でもう一度どこまでやるかを話してください。

AIに下書きさせるプロンプト3種

型が決まっていても、案件ごとに中身を書き起こすのに時間がかかります。ここはAIに下書きさせて、人が金額を入れるほうが早く終わります。下の3つはそのままコピーして使えます。

プロンプト1|打ち合わせメモから、見積の項目に起こしてもらう

あなたは日本の中小企業の見積担当です。
下に貼るのは、お客様との打ち合わせのメモです。

このメモから、見積書の内訳に立てるべき項目を箇条書きで出してください。
条件は次のとおりです。
・1項目につき「品名・作業名」「数量」「単位」を書く(メモに無い数量は[ ]のまま残す)
・金額と単価は書かないでください
・メモに書かれていない作業を足さないでください
・「一式」でまとめたほうがよい項目は、その理由を1行付けてください

最後に、メモだけでは数量が決められない項目を一覧にしてください。

【打ち合わせメモ】
(ここに貼る)

プロンプト2|「含まないもの」の候補を出してもらう

あなたは日本の中小企業の見積担当です。
下に貼るのは、私が作った見積書の内訳です。

この内訳を読んで、お客様が「当然入っている」と思いそうなのに
内訳に入っていない作業・費用を、箇条書きで挙げてください。

・1項目につき、なぜ誤解されやすいかを1行で書いてください
・実際に含めるべきかどうかの判断は書かないでください(こちらで決めます)
・多くても8項目までにしてください

そのあとに、見積書の「この見積に含まないもの」欄にそのまま貼れる文章に
整えたものを出してください。

【見積の内訳】
(ここに貼る)

プロンプト3|書いた見積書に抜けがないか確認してもらう

あなたは日本の中小企業の見積担当です。
下に貼るのは、私が書いた見積書の下書きです。

次の10項目がそろっているかを1つずつ確認し、表で出してください。
1. 表題 2. 宛先 3. 自社の名称と連絡先 4. 作成日と見積番号
5. 合計金額(税込・税抜の別) 6. 内訳(品名・数量・単位・単価)
7. 有効期限 8. 含まないもの 9. 納期 10. 支払条件

各項目について「あり/なし/不十分」と、不十分な場合は理由を1行で書いてください。
そのあとに、範囲が読み取れない表現(例:一式、適宜、必要に応じて)を
使っている箇所を抜き出してください。

金額の再計算はしないでください。本文も書き直さないでください。
指摘だけ出してください。

【見積書の下書き】
(ここに貼る)

3つとも「金額を書かない」「計算しない」と指示してあります。ここを外すと、それらしい単価が入った下書きが出てきて、そのまま出してしまう事故につながります。数字は自社の原価表から人が入れてください。

狙ったものが出てこないときは、条件を足すより先に、貼ったメモの中身を見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。

見積書を送るときの添え状も、同じやり方で下書きできます。書き方は送付状の書き方でご紹介しています。

AIに任せてはいけないこと

任せてよいこと人が決めること
メモから内訳の項目を起こすどの作業を1行にまとめるか
含まないものの候補を挙げるそのうちどれを実際に外すか
10項目の抜けを確認する抜けていた項目を入れるかどうか
範囲があいまいな表現を抜き出すその表現を残すか書き換えるか
過去の見積を一覧にして、期限の近いものを並べる期限切れの案件を出し直すかどうか

いちばん任せてはいけないのが、金額の計算です。AIは数字の並んだ表を見れば合計を書いてきますが、その値が自社の原価表と合っているかは確かめていません。単価・数量・消費税・値引きは、必ず自社の表計算か販売管理のしくみで出してください。この線引きは見積書・請求書づくりをAIに任せる方法で詳しくご説明しています。

もうひとつ、取引先の原価や他社の見積をそのまま貼らないでください。そこには相手の会社名や仕入値が入っています。文面を整えたいだけなら、会社名を伏せて金額を仮の数字にしたメモで足ります。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。

保存についても2つだけ触れておきます。ひとつは、メールやPDFでやり取りした見積書の保存です。電子帳簿保存法は次のように定めています。

電子帳簿保存法 第7条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、
電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、
当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

(出典:e-Gov法令検索「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の
 保存方法等の特例に関する法律」)

もうひとつは印紙です。印紙税法は、別表第一に掲げられた文書にだけ印紙税がかかると定めています(第2条)。自社が出している見積書がどの文書に当たるかは、取引の中身で変わります。電子でやり取りしたぶんをどう保存すればよいかも同じです。判断が要るところなので、税理士か所轄の税務署にご確認ください。この記事では結論を書きません。

まず、直近に出した1枚を見てください

書式を作り直してから始めると決めると、手が止まります。先月そのまま出した見積書を1枚開いて、プロンプト2に内訳だけを貼ってみてください。

「当然入っていると思われそうなもの」が5つも6つも出てきます。そのうち2つか3つを次の見積書の「含まないもの」欄に書き足すだけで、あとから起きる話し直しがはっきり減ります。

1枚で通れば、あとは宛先と内訳を入れ替えるだけです。型1から型3のうち、自社の仕事に近いものを1つだけ自社の言葉に直して保存しておいてください。次からは日付と数量を入れるところから始められます。

見積の出し方が経営者の頭のなかにしかない状態は、現場と見積を一人で持っている会社ほど起きやすくなります。見積と段取りの決まりを会社の側へ移した例が住宅改修業様の事例(CASE 05)です。毎回の現地調査と見積づくりをどこまで型にできるかを、同じ順番で進めました。

見積書のほかにどの書類から手をつけるか迷う場合は、AIに任せられる仕事の一覧を部署ごとに並べています。営業と経理の仕事だけでも、下書きまでを任せられるものがいくつも見つかります。

経営者の頭のなかにあった見積の決まりを、会社の側に残していく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

経営者の頭のなかにある見積の決まりを
30分で一緒に書き出します。

まずは30分、話すだけで大丈夫です

資料も準備もいりません。
いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。
無理におすすめすることはありません。

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