見積依頼の書き方|メールと見積依頼書に入れる7項目、相見積の頼み方と断り方、そのまま使える型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】
外注先や仕入先に見積を頼むたびに、何を伝えればよいか迷って毎回手が止まる。出した依頼に不足があって、確認の電話が何度も来る。届いた見積が会社ごとに形が違って比べられない。そんな会社の経営者と、頼む係を任された方に向けてこの記事を書きました。
結論からお伝えします。見積依頼で大事なのは、丁寧な文面ではありません。「何を・いくつ・いつまでに・どこへ」と「いつまでに見積がほしいか」が、相手が一度読めば分かる形で書いてあることです。ここが抜けると、相手は前提を想像で埋めて見積を作ります。その結果が、金額が合わない、あとで追加が出る、比べられない、として戻ってきます。この記事では、見積依頼書・見積書・発注書との違いを整理し、依頼に入れる7項目、相見積の頼み方と断り方をまとめました。メール・依頼書・お断りの型3種と、AI(Claude)にコピーして使えるプロンプトもご紹介します。
見積依頼でつまずく3つのパターン
見積を頼む文面は、社内の誰かが毎回その場で書いていることが多い書類です。困りごとは書き方の上手下手ではなく、伝える中身が毎回ばらばらなことから起きます。よくある3つを並べます。
| つまずき | 会社で起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 「〇〇の見積をお願いします」だけで送る | 相手から数量・納期・仕様の確認が何度も来て、見積が届くまでに日数がかかる | 入れる項目を決めておき、毎回その順に埋める |
| いつまでに見積がほしいかを書かない | 相手の都合で届く日が決まり、こちらの判断が遅れる | 回答の期限を必ず1行入れる |
| 3社に頼んだが、それぞれ違う前提で見積が来る | 金額だけ並べても比べられず、結局いちばん安いところに決めて後で追加が出る | 3社に同じ文面・同じ条件で頼み、比べる項目を先に決める |
3つに共通するのは、頼む側の頭のなかにある前提が、文面に書かれていないことです。相手はその前提を知らないので、聞き返すか、想像で埋めるかのどちらかになります。聞き返してくれる相手ならまだよいのです。想像で埋められた見積は、発注したあとに「それは含まれていません」として返ってきます。
見積依頼・見積依頼書・見積書・発注書の違い
見積のまわりには似た名前の書類が並びます。「誰が出すか」と「取引のどの段階か」で並べると、見積依頼がどこに立つ紙かが見えてきます。
| 書類 | 出す人 | 段階 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 見積依頼(メール・電話) | 頼む側(自社) | 取引の前 | 条件を伝えて金額を出してもらう |
| 見積依頼書 | 頼む側(自社) | 取引の前 | 見積依頼を書面にしたもの。条件が多いときや、複数社に同じ条件で頼むときに使う |
| 見積書 | 受ける側(相手) | 取引の前 | 依頼の条件に対して金額・納期・有効期限を示す |
| 発注書(注文書) | 頼む側(自社) | 取引の決定 | 見積の内容で正式に頼むことを伝える |
つまり、見積依頼は取引のいちばん最初にこちらから出す紙です。ここに書いた条件が、そのまま見積書の前提になり、発注書の中身になります。最初の1通が曖昧だと、あとの書類が全部曖昧になります。相手が出す見積書に何が書かれるべきかは見積書の書き方で、見積のあとに出す発注書は発注書の作り方でまとめています。
メールで済ませるか、見積依頼書として1枚にまとめるかは、条件の数と、比べる相手の数で決めてください。1社に1品を頼むならメールの本文で足ります。仕様や数量が多い、図面や写真を添える、3社に同じ条件で頼む。こうした場合は、条件を1枚の依頼書にまとめてメールに添えるほうが向いています。
見積依頼に入れる7項目
相手が一度読んで見積を作れるように、次の7項目を毎回同じ順で入れてください。順番が同じだと、書く側も抜けに気づきやすく、受け取る側も慣れてきます。
| 項目 | 書くこと | 抜けるとどうなるか |
|---|---|---|
| ① 何を | 品名・仕様・型番・サイズ・材質。図面や写真があれば添えると伝わる | 相手が想像で決め、あとで「それは別料金」になる |
| ② いくつ | 数量と単位(個・m・式・人日など)。増える可能性があればその幅 | 単価が変わる。まとまった数の値引きが受けられない |
| ③ いつまでに | 納期または工期の希望。日付で書く(「なるべく早く」は書かない) | 相手の都合で決まり、急ぎの費用が乗る |
| ④ どこへ | 納品場所・現場の住所。搬入の条件(階段のみ・車が入れないなど) | 運賃や搬入費が見積から抜ける |
| ⑤ いつまでに見積がほしいか | 回答の期限。判断に使う日から逆算して書く | こちらの判断が相手の都合で遅れる |
| ⑥ 条件 | 支払いの条件(締め日・支払日)、見積の有効期限の希望、予算の上限を伝えるかどうか | 金額が合っても、支払いの話で揉める |
| ⑦ 問い合わせ先 | 担当者の名前と連絡先、質問を受けられる時間帯 | 確認が遅れ、見積が遅れる |
このなかで、いちばん抜けやすいのが⑤の「いつまでに見積がほしいか」です。頼む側は「送った」時点で安心してしまいますが、相手にとっては期限のない仕事は後回しになります。「〇月〇日までにいただけますか」の1行があるだけで、届く日がほぼ決まります。
①の「何を」は、書ける範囲で構いません。専門的な仕様が分からないときは、「使う場面」と「困っていること」を書いてください。無理に型番を書くより、正確な見積が戻ってきます。たとえば「事務所の来客用に、6人が座れる打ち合わせテーブル。今の机は角が欠けて危ないので、角が丸いもの」と書けば、相手は候補を選べます。
⑥の予算を伝えるかどうかは、会社ごとに考え方が分かれます。上限を伝えると、その金額に合わせた提案が戻ってきやすく、伝えないと、相手の標準の仕様で見積が来ます。「この金額を超えるなら仕様を落としてでも収めたい」ときは伝える。「まず相場を知りたい」ときは伝えない。こう使い分けると迷いません。
相見積の頼み方と、断り方
複数の会社に同じ内容で見積を頼むことを相見積と呼びます。相見積で大事なのは、金額を並べることではなく、同じ条件で頼むことです。条件がずれた3枚を並べても、比べたことになりません。
| やること | 中身 |
|---|---|
| 同じ文面で送る | 7項目を同じ依頼書にまとめ、3社に同じものを送る。会社ごとに口頭で条件を足さない |
| 比べる項目を先に決める | 金額のほかに、納期・有効期限・含まれる範囲(運賃・設置・保証)を表にしておく |
| 相見積であることを伝えるか決める | 伝えると相手は競争を前提に出してくる。伝えないと標準の金額で出てくる。どちらでもよいが、伝えるなら全社に同じように伝える |
| 断る相手に必ず連絡する | 見積を出した相手は、返事を待っている。決まった時点で、頼まなかった会社にも1通送る |
断りの連絡は、つい後回しになります。けれども、相手は見積を作るのに時間を使っています。「今回は別の会社に決めました。またお願いすることがあります」の2行でよいので、決まったその日に送ってください。次に頼むときの返事の早さが変わります。断りの文面で角が立たない書き方はビジネスメールをAIに任せる方法の断りの項でご紹介しています。
見積を見比べるとき、過去に同じような仕事を頼んだときの金額があると、いまの見積が高いか安いかを判断しやすくなります。ところが、過去の見積は担当者のメールの中に埋もれていて、探せないことがほとんどです。頼んだ見積と届いた見積を、案件ごとに1つの場所に置く決まりにしておくと、次の相見積のときにそのまま比較の材料になります。
そのまま使える型3種(メール・依頼書・お断り)
場面に合わせて選んでください。①何を・②いくつ・③いつまでに・⑤いつまでに見積がほしいか、の4つはどの型でも必ず残してください。
型1|1社に1件を頼むとき(メール本文)
件名:お見積りのお願い(〇〇の〇〇・〇月〇日納品希望) 株式会社〇〇 〇〇様 いつもお世話になっております。株式会社□□の△△です。 下記の内容でお見積りをお願いいたします。 ■ 品名・仕様:〇〇(型番〇〇、サイズ〇〇、色〇〇) ■ 数量:〇〇個 ■ 納品希望日:令和〇年〇月〇日(〇) ■ 納品場所:弊社事務所(〇〇市〇〇町〇-〇、1階搬入口あり) ■ 支払い条件:月末締め・翌月末払い(従来どおり) ■ 見積のご回答期限:令和〇年〇月〇日(〇)まで 仕様でご不明な点があれば、下記までお問い合わせください。 担当:△△ 電話:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇(平日9時〜17時) メール:〇〇〇@〇〇〇.co.jp よろしくお願いいたします。
型2|条件が多い・複数社に同じ条件で頼むとき(見積依頼書・メールに添付)
見積依頼書 令和〇年〇月〇日 株式会社〇〇 御中 株式会社□□ 〇〇部 △△ 電話:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇 下記のとおり、お見積りをお願いいたします。 記 1. 件名:〇〇事務所 〇〇工事(または 〇〇の購入) 2. 内容・仕様:別紙の図面・写真のとおり(別紙〇枚) 3. 数量:〇〇(増減の可能性:〇〇〜〇〇) 4. 納期・工期:令和〇年〇月〇日(〇)までに完了 5. 納品場所・現場:〇〇市〇〇町〇-〇(搬入条件:〇〇) 6. 見積に含めていただきたいもの:本体・運賃・設置・撤去・保証 7. 支払い条件:検収後、月末締め・翌月末払い 8. 見積の有効期限:〇か月以上を希望 9. 見積のご回答期限:令和〇年〇月〇日(〇) 10. ご質問の受付:上記担当まで(平日9時〜17時) 以上
型3|相見積のあと、頼まなかった会社へのお断り(メール本文)
件名:お見積りのお礼(〇〇の件) 株式会社〇〇 〇〇様 お世話になっております。株式会社□□の△△です。 先日は〇〇のお見積りをいただき、ありがとうございました。 社内で検討しました結果、今回は別の会社にお願いすることにいたしました。 お手数をおかけしましたのに申し訳ありません。 今後また〇〇でお願いすることがあるかと思います。 その際はあらためてご相談させてください。 取り急ぎ、お礼とご連絡まで。
AIに下書きさせるプロンプト3種
見積依頼は、AI(Claude)に下書きを任せやすい書類です。こちらが持っている条件を渡し、7項目の順に並べてもらうだけで、抜けの少ない文面になります。
プロンプト1|走り書きの条件から、依頼メールを作る
あなたは中小企業で外注先や仕入先に見積を頼む担当者です。 以下のメモから、見積依頼のメール文を作ってください。 条件: ・「何を・いくつ・いつまでに・どこへ・いつまでに見積がほしいか・支払い条件・問い合わせ先」の7項目の順に並べる ・メモに無い条件は作らず、【要確認】と書いて空けておく ・納期と回答期限は「なるべく早く」と書かず、日付で書く。メモに日付が無ければ【要確認】にする ・相手が一度読めば見積を作れる文面にする。あいさつは2行以内 ・件名を1行つける <メモ> (ここに条件を貼る。例:打ち合わせ用の机、6人、角が丸い、来月中、事務所2階に階段で搬入、いつもの支払い条件)
プロンプト2|3社に同じ条件で頼む依頼書を作り、抜けを指摘してもらう
以下の条件で、3社に同じ内容を送る見積依頼書を作ってください。 条件: ・「件名・内容と仕様・数量・納期・場所・見積に含めるもの・支払い条件・有効期限・回答期限・問い合わせ先」の10項目で書く ・3社を比べるときに前提がずれないよう、含める範囲(運賃・設置・撤去・保証)を明記する ・作ったあとに、相手から質問が来そうな点を3つ挙げ、こちらで決めておくべきことを教えてください <依頼の内容> (ここに貼る)
プロンプト3|届いた見積3枚を、同じ表で比べる
以下は、同じ条件で3社に頼んで届いた見積の内容です。 比べる表を作ってください。 条件: ・行は「金額(税別)・納期・有効期限・含まれるもの・含まれないもの・支払い条件・気になる点」の7つ ・列は会社ごと ・条件が書かれていない欄は「記載なし」と書く。推測で埋めない ・最後に、3社で前提がずれている項目があれば指摘してください(例:A社だけ運賃が別、B社だけ設置が含まれる) ・どの会社に決めるべきかは書かないでください。判断は自分でします <A社の見積> (ここに貼る) <B社の見積> (ここに貼る) <C社の見積> (ここに貼る)
プロンプトの3つ目で「どの会社に決めるべきかは書かない」と入れているのは、AIに決めさせないためです。表を作るのはAIが得意ですが、その会社との付き合いや、過去の仕事ぶりは、経営者しか知りません。こうした「AIに何を任せて、何を自分で決めるか」の切り分けはAIへの指示文の書き方でも詳しくまとめています。
見積書や請求書の金額には、取引先の名前と単価が入ります。AIに貼る前に、社内でどこまで入れてよいと決めているかを確かめてください。入れてよい情報と入れてはいけない情報の線引きはAIに入れていい情報・いけない情報で整理しています。届いた見積書のあとに自社が出す見積書や請求書をAIに任せる方法は見積書・請求書をAIに任せる方法をご覧ください。
AIに任せてはいけないこと
| 任せてよいこと | 人が決めること |
|---|---|
| メモから7項目の順に並べた依頼文を作る | 何を頼むか、いくつ頼むか、いつまでに必要か |
| 3社分の依頼書を同じ条件でそろえる | 予算の上限を伝えるかどうか。相見積であることを伝えるかどうか |
| 届いた見積を同じ表に並べ、前提のずれを指摘する | どの会社に頼むか。金額以外の理由(過去の仕事ぶり・対応の早さ)をどう見るか |
| お断りの文面の下書き | 断る相手に、いつ・誰が連絡するか |
もう一つ、取引先との間で守るべき決まり(支払いの期限や書面の出し方など)は、業種や相手の規模によって変わります。頼む側が守るべきことがあるかどうかは、AIに聞くのではなく、取引先や専門家に確かめてください。発注のあとの書面については発注書の作り方で触れています。
まず、次に頼む1件を型で出してみる
この記事の型をすべて使う必要はありません。次に見積を頼む1件を、型1の順番で書いて送ってみてください。相手からの確認の電話が減ったら、型が効いています。
その1件がうまくいったら、依頼文と届いた見積を、案件ごとに1か所にまとめる決まりをつくってください。過去の依頼と見積が探せる形で残っていると、次の相見積は「前回と同じ条件で」の一言で始められます。過去の見積を条件で探す仕組みは過去の見積の検索で、見積のあとの発注書づくりは注文書・発注書でご紹介しています。
見積依頼のように「毎回その場で書いている文面」は、担当者の頭のなかにだけ型があり、その人が休むと止まります。型を紙に書き出してAIに渡せる形にすると、誰が頼んでも同じ抜けのない依頼になります。私たちが会社ごとに何をつくるかはAI導入支援とは|何をつくるのかにまとめています。
毎回その場で書いている見積依頼を
30分で一緒に、誰が頼んでも同じ形にします。
まずは30分、話すだけで大丈夫です
資料も準備もいりません。
いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。
無理におすすめすることはありません。
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