後任がいないまま辞められたら|会社が最初の1週間でやる3つのこと【2026年版】

担当者から退職の申し出があった。代わりに任せられる人が社内にいない。募集をかけても、来月から入ってもらえるあてはない。後任がいないまま辞められる側の会社に向けて書いています。

この状況で検索すると、出てくるのは「後任がいなくても退職できます」という、辞める側に向けた記事ばかりです。会社としてどう動くかの話が見当たらない。そこで、残された側が最初の1週間でやることを3つに絞って整理しました。

引き止めに時間を使わない

最初にお伝えしたいのは、退職の意思が固まった相手の説得に、残り少ない時間を使わないほうがよいということです。

退職の申し出から実際に辞めるまでの期間は、就業規則や労働契約で定められています。一般には数週間から1か月程度が多く、そのあいだに引き継ぎを終える必要があります。引き止めに2週間を使ってしまうと、残りの期間で業務の中身を聞き出す時間がなくなります

それに、引き止めの会話をしている最中は、辞める側も本音の情報を出しにくくなります。「引き継ぎに協力してもらう関係」に切り替えたほうが、結果的に会社が受け取れるものは多くなります

退職日や有給休暇の消化、引き継ぎの義務づけなど、労務のルールに関わる判断は個別の事情で変わります。トラブルになりそうな場合は、社会保険労務士や弁護士など専門家にご確認ください。この記事は業務を回し続けるための実務の話に絞っています。

1つ目:書かせるより、聞いて録る

後任がいないと分かった時点で、多くの会社が「引き継ぎ資料を作っておいて」と依頼します。ところが、退職が決まった人に分厚い資料を書かせるのは、いちばん失敗しやすいやり方です。

  • 書く作業は、本人にとってもう自分のためにならない仕事です。優先順位は上がりません
  • 毎日やっていることほど言葉にしづらく、書き出すのに時間がかかります
  • 渡された側は、そもそも何が分からないかが分からないので、資料が届いても質問が出てきません

おすすめしているのは、書かせるのをやめて、話してもらった内容を録音し、あとから文章に起こす方法です。人は、書けないことでも説明はできます。1業務あたり20分から30分、画面を一緒に見ながら説明してもらってください。

録音した内容は、そのままでは使えません。文字起こししてAIに整えてもらうと、手順と判断基準の形になります。この作業は本人が辞めたあとでもできます。前任者の時間は「話す」ことだけに使い、整える作業は後回しにするのが、限られた期間の使い方としては効率的です。

具体的な進め方とプロンプト例は引き継ぎ資料をAI(Claude)に作らせる方法に、渡す様式は引き継ぎ書の作り方にまとめています。

聞き取りのときに必ず入れる3つの質問

  1. この作業、慣れていない人がやったらどこで間違えますか
  2. 例外はありますか。「この取引先だけ違う」というものです
  3. 判断に迷ったとき、これまで何を基準に決めていましたか

手順そのものより、この3つが抜けたときに事故が起きます。

2つ目:業務を「続ける・減らす・やめる」で仕分ける

後任がいないということは、その人がやっていた量を、いまいる人数で受け止められないということです。全部を引き継ごうとすると、受け取った側が次に潰れます。

聞き取りと並行して、業務を3つに仕分けてください。判断するのは会社側です。前任者に「これは要りますか」と聞くと、たいてい全部が要ると返ってきます。

仕分け判断の目安扱い
続ける止まると売上か信用が減る聞き取りの時間を最優先で確保
減らす必要だが、頻度や精度は落とせる週1を月1に、様式を簡素にする
やめる誰も使っていない、慣習で続いている引き継がない。止めた記録だけ残す

担当者が抜けるときは、「やめる」を実行できる数少ないタイミングです。ふだんは「前からやっているから」で続いてしまう作業を、このときなら止められます。止めてみて困ったら戻せばよいので、判断は重くありません。

「減らす」に入れたもののうち、定型の書きものはAIで負荷を下げられます。日報や報告書、案内文といったAIに任せられる仕事は、慣れれば下書きの時間が短くなります。

3つ目:次の人が「聞ける」状態にしておく

ここが、後任がいない場合にいちばん効く準備です。

後任が決まっていれば、分からないことは前任者に聞けます。後任がいない場合、業務を受け取るのは数か月後に入ってくる人か、当面は社長や他部署の人です。そのときには前任者はもういません。資料が残っていても、聞く相手がいないという状態になります。

そこで、聞き取りで集めた内容を、読む文書ではなく、質問できる形にしておきます。文字起こしと手順書をAIに読ませておくと、次の担当者は「A社の請求書はいつ送るのか」と自分の言葉で聞けます。目次から探して読む必要がありません。

この形にしておく利点は、質問の履歴が残ることです。新しく入った人がどこでつまずいたかが分かるので、あとから資料の抜けを埋められます。紙やファイルのままだと、この情報は取れません。

私たちがAI導入をご支援するときも、最初にやるのは業務の進め方を書き出す作業です。引き継ぎのために書き出す内容と、AIに仕事を任せるために書き出す内容は、ほとんど同じものになります。何をどこまで任せられるかはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

同じ人数で採り直すべきか

抜けた分をそのまま採用で埋める前に、一度立ち止まる価値があります。「やめる」に仕分けた作業を引いたあと、本当に同じ人数が必要かという点です。

採用には、給与だけでなく募集や教育の手間もかかります。しかも入った人がまた辞めれば、同じことが起きます。人を増やす前にできることは人手不足の対策、採用の前にできることに、費用の考え方は正社員1人=年240万円。人を雇わずAIで回す方法にまとめています。

採用しないという結論を勧めているわけではありません。「抜けた穴と同じ形の人」を探すのか、業務の形を変えてから採るのかで、募集要件が変わります。ここを決めずに募集をかけると、入った人にも前任者と同じ属人化が起こります。

社長ひとりが抜けられない場合

従業員の退職ではなく、社長自身が抜けられないという相談もいただきます。数日休むだけで業務が止まる、入院や介護があったら会社が回らない、という状態です。

この場合も、やることは同じです。自分がやっていることを話して録音し、文書にして、質問できる形にしておく。後任がいないからこそ、頭の中にあるものを外に出しておく意味があります

一人親方の事業者さまで、ホームページの更新をご自身でできる状態にしてお渡しした事例があります(CASE 07 さわだ住宅改修 様)。外に頼み続けるのではなく、手順を残して自走できる形にする。人が増やせない規模ほど、この考え方が効きます。

最初の1週間で決まります

後任がいないまま担当者が抜けるとき、結果を分けるのは「引き止めに時間を使ったか」「聞き取りに時間を使ったか」です。前任者が在籍しているあいだしかできないのは、聞き取りのほうだけです。

やることの順番をもう一度整理します。

  1. 聞いて録る:書かせず、1業務20分から30分、画面を見ながら説明してもらう
  2. 仕分ける:続ける・減らす・やめるの3つに分け、判断は会社側が下す
  3. 聞ける形にする:文書を読ませるのではなく、次の人が質問できる状態にしておく

全部を完璧にやろうとすると間に合いません。止まると真っ先に困る業務、ひとつだけから着手してください。

「抜ける人の業務を、どこから手をつければいいのか」
そんな段階のご相談から、30分で一緒に整理できます。

FIRST STEP

まずは30分、話を聞いてみませんか

「うちの業務で使えるのか」を、実際にClaudeを動かしながらその場で確認できます。
ご契約前提でなくても大丈夫です。話を聞くだけのご利用も歓迎します。

  • 非エンジニアでもOK
  • ご相談は30分・無料

お話しして「合わない」と感じられたら、その場でお断りいただけます
無理におすすめすることはありません。

無料相談を予約する(30分)

投稿者プロフィール

Trash-B合同会社
Trash-B合同会社

Follow me!