引き継ぎ書の作り方|コピーして使えるテンプレートと1業務1枚の書き方【2026年版】
担当者の異動や退職が決まって、引き継ぎ書を用意することになった。ネットで探すとテンプレートは山ほど出てくるのに、いざ開くと手が止まる。そんな状態で読んでいる方に向けて書いています。
結論から言うと、引き継ぎ書でつまずくのは様式のせいではありません。「どこまでを1枚に書くか」が決まっていないからです。この記事では、ダウンロードなしでそのままコピーして使えるテンプレートと、1枚に収める粒度の決め方をご紹介します。
引き継ぎ書と業務マニュアルは別物
手が止まる原因の多くは、この2つを1枚に詰め込もうとしていることです。役割が違うので、分けて考えると一気に書きやすくなります。
| 引き継ぎ書 | 業務マニュアル | |
|---|---|---|
| 目的 | 担当が替わる期間を乗り切る | 誰がやっても同じ品質にする |
| 読む人 | 後任者ひとり | その業務に関わる全員 |
| 寿命 | 数週間から数か月で役目を終える | 更新しながら使い続ける |
| 中身 | 今かかえている案件・締切・連絡先・引き渡すもの | 手順・判断基準・例外処理 |
| 分量の目安 | 1業務あたり1枚 | 必要なだけ |
引き継ぎ書は「いま止まっている案件を落とさないためのメモ」です。手順の完全な解説を入れようとすると終わりません。手順のほうは業務マニュアルに寄せて、引き継ぎ書からはリンクや置き場所を示すだけにします。
コピーして使える引き継ぎ書テンプレート
下のテキストをそのまま選択してコピーし、Google ドキュメントやWord、社内の共有メモに貼り付けてお使いください。会員登録もダウンロードも不要です。角カッコの中を書き換えるだけで形になります。
■ 業務名:[例:請求書の発行と入金確認] ■ 前任者:[氏名] ■ 後任者:[氏名] ■ 作成日:[YYYY/MM/DD] 【1】この業務は何のためにあるか [例:毎月の売上を確定させ、入金の遅れを早く見つけるため] 【2】いつやるか [例:毎月1日〜5日に発行、25日に入金確認。締切は月末] 【3】使うもの・置き場所 ・システム/ツール:[名称と、ログイン情報の保管場所] ・ファイル:[共有フォルダのパス。ファイル名まで書く] 【4】手順(番号つき・詳しくはマニュアルへ) 1. [ ] 2. [ ] 3. [ ] ※詳細手順:[マニュアルのURLまたは置き場所] 【5】判断が要る場面と、その基準 ・[例:値引きの依頼が来たら → 5%までは担当判断、超えたら社長へ] 【6】例外・イレギュラー ・[例:A社だけ請求書の様式が違う。B社は月2回締め] 【7】関係する人と連絡手段 ・社内:[部署・氏名・連絡方法] ・社外:[会社名・部署・連絡方法] 【8】いま動いている案件(★ここが引き継ぎ書の本体) ・案件名:[ ]/状況:[どこまで進んだか]/次の一手:[誰が何をいつまでに] ・案件名:[ ]/状況:[ ]/次の一手:[ ] 【9】引き渡すもの ・[鍵・カード・端末・アカウント・書類など] 【10】前任者に聞ける期間 ・[例:9月30日まで。以降は◯◯部の△△へ]
【8】が引き継ぎ書の中心です。他の項目はマニュアルや台帳と重なりますが、「いま止まっている案件の状況」だけは、その人の頭の中にしかありません。ここが抜けたまま担当が替わると、取引先からの連絡で初めて気づくことになります。
1業務1枚にする(粒度の決め方)
「経理業務」で1枚にすると、中身が多すぎて誰も読み切れません。かといって作業ひとつずつに分けると枚数が増えすぎます。目安はこれです。
- 止まると誰かが困る単位で切る:請求書の発行が止まると入金が遅れる。だから「請求書の発行と入金確認」で1枚
- 締切が同じものはまとめる:月末締めの作業は1枚に入れてよい。年1回の作業は別の紙にする
- 相手が違うものは分ける:社内向けと取引先向けは、連絡先も判断基準も変わるので混ぜない
この切り方で数えると、ひとりが持っている業務はだいたい5枚から15枚に収まります。全部を同じ熱量で書く必要はありません。止まったときの影響が大きい順に書いて、時間が足りなければ下のほうは箇条書きだけで構いません。
会社側が用意する引き継ぎ計画表
引き継ぎ書は前任者が書くものですが、「何を、いつまでに、どの順で引き継ぐか」を決めるのは会社側の仕事です。ここが白紙のまま「引き継ぎよろしく」と言われると、前任者は何から手をつけていいか分かりません。
| 業務 | 止まったときの影響 | 引き継ぎ方法 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 請求書の発行 | 大(入金が遅れる) | 書面+同席1回 | 8/20 |
| 取引先A社の窓口 | 大(関係が切れる) | 書面+同行あいさつ | 8/25 |
| 備品の発注 | 小 | 書面のみ | 8/31 |
※日付と業務名は記入例です。
「引き継ぎ方法」の欄が効きます。書面だけで済むもの、1回同席が要るもの、取引先へのあいさつが要るものは、必要な日数がまったく違います。ここを先に決めておくと、退職日の直前に慌てずに済みます。
引き継ぎ書に書いてはいけないもの
引き継ぎ書はコピーされて出回ります。共有フォルダに置いたまま何年も残り、退職者の私物PCに残っていることもあります。次のものは書かないでください。
- パスワード・暗証番号・APIキー:どこに保管してあるかだけを書きます
- 口座番号・カード番号:同じく保管場所のみ
- 取引先の担当者の個人的な情報:好みや家族の話は、業務に必要な範囲を超えます
- 人物評:「あの人は面倒」といった記述は、本人の目に触れた時点で問題になります
AIを使って引き継ぎ書を整える場合も同じです。何を入れてよくて何がだめかは、会社でAIに入れていい情報・ダメな情報で整理しています。
白紙が埋まらないときの進め方
テンプレートを配っても手が止まる場合、原因は書く気がないことではありません。毎日やっていることほど、言葉にする経験がないためです。
そういうときは、書かせるのをやめて話してもらうところから始めます。誰かに口頭で説明してもらい、その内容をあとから文章の形に整える。この順番なら、書くのが苦手な方でも中身が出てきます。
話した内容をAIに整えてもらい、抜けている点をAIから質問させる具体的な手順は、引き継ぎ資料をAI(Claude)に作らせる方法にプロンプト例つきでまとめています。上のテンプレートと組み合わせると、【1】から【7】までは説明を聞きながら埋まっていきます。
まずは1業務、1枚から
全業務を一度に書き出そうとすると、たいてい途中で止まります。「この人が抜けたら真っ先に困る」と思い浮かんだ業務、ひとつだけをテンプレートに落としてみてください。1枚できれば、残りは同じ形をなぞるだけになります。
書き出した内容は、担当が替わる期間だけのものではありません。業務の進め方を文書にしておくと、そのままAIに読ませる材料になります。何をどこまで任せられるかはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。
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