顛末書・始末書の書き方|違いと、そのまま使える型3つ・AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】
トラブルが起きて、上司から「顛末書を出して」と言われた。書き方を調べたら始末書というものも出てきて、どちらを書けばいいのか分からない。書き出しで止まったまま、時間だけが過ぎている。社内でこの手の書類を書く立場の方と、提出を受ける側の社長に向けて書いています。
結論からお伝えします。顛末書と始末書は、目的がまったく違う書類です。顛末書は「何が起きたか」を時系列で伝える報告書、始末書は「非を認めてお詫びする」文書です。求められているのがどちらかを取り違えると、何度書き直しても受け取ってもらえません。逆に、起きたことを6項目に分けて書き出せたなら、文章に組み立てる作業はAIに任せられます。この記事では、2つの違いと、入れる6項目、そのまま使える型3つ、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。
顛末書と始末書は何が違うのか
名前が似ているので同じ書類だと思われがちですが、読む人が知りたいことが違います。顛末書を求められている場面でお詫びばかり並べると、肝心の経過が分かりません。逆に始末書でお詫びが一言も無ければ、書き直しになります。
| 顛末書 | 始末書 | |
|---|---|---|
| 目的 | 起きたことを正確に伝える | 非を認めて、お詫びと再発防止を伝える |
| 中心にあるもの | 事実の経過 | 反省と、これからの約束 |
| 求められる場面 | トラブル・事故・納期遅れの報告 | ミスの責任を明確にするとき |
| 書く人 | 担当者、または調べた人 | 本人 |
| お詫びの言葉 | 無くてもよい | 必ず入る |
| 宛先 | 社内が中心(社外に出す版もある) | 社内が中心 |
迷ったら、指示した人に「経過の報告と、お詫びの文書と、どちらが要りますか」と聞いてください。これは確認して構わない質問です。書き上げてから違ったと分かるほうが、お互いに手戻りが大きくなります。
なお、社外のお客様へのお詫びは、この2つとはまた別の文書になります。相手に送る文面の組み立てはクレーム対応の返信をAIに任せる方法にまとめています。
始末書には、もう1つ気をつける点があります。会社によっては、始末書の提出が懲戒の手続きと結びついていることがあります。提出を求められた経緯に処分の話が混じっているなら、書き方より先に確認すべきことがあります。この点は後半でもう一度触れます。
顛末書に入れる6項目
書式は会社ごとに違いますが、読む人が確かめたいことは似ています。文章にする前に、次の6項目を箇条書きで埋めてください。ここが埋まれば、あとは並べ替えるだけです。
| # | 項目 | 書くこと | よくある抜け |
|---|---|---|---|
| 1 | いつ | 発生した日時と、気づいた日時を分けて書く | 気づいた時刻しか書いていない |
| 2 | 何が | 起きた事象を一言で。原因ではなく結果 | 「確認不足により」と原因から始めてしまう |
| 3 | どこで・誰が | 対象の業務、関わった人の役割 | 名前だけ並べて役割が分からない |
| 4 | 影響 | 誰に、どこまで及んだか。金額や件数 | 「ご迷惑をおかけしました」で数量が無い |
| 5 | 対応 | 発覚後にやったこと。時系列で | 再発防止と混ざっている |
| 6 | 再発防止 | 次から変えることを1つか2つ | 「注意します」で終わっている |
抜けやすいのは1番と4番です。本人は経緯を全部知っているので、発生と発覚のズレを書き忘れます。読む側にとっては、そのズレこそが知りたい情報です。気づくのが1日遅れたのか3週間遅れたのかで、次に打つ手が変わります。
4番の影響も、数量が入ると文書の質が変わります。「一部のお客様に」ではなく「12件」、「納品が遅れた」ではなく「2営業日遅れた」と書いてください。数えられるものは数えて書く。それだけで、読む人は判断できるようになります。
6番は1つか2つで十分です。5つ並べると、どれも実行されません。同じことは日報でも起きます。続く仕組みの作り方は日報のテンプレートと、AIに書かせる方法でも触れています。
そのまま使える型3つ
6項目が埋まったら、次の3つのどれかに流し込んでください。会社の書式がある場合は、そちらが優先です。ここに挙げるのは、書式が決まっていない場合の並べ方です。
① 顛末書(社内向け・いちばん使う型)
1. 発生日時/発覚日時
2. 発生した事象
3. 対象業務と関係者の役割
4. 影響の範囲(件数・金額・遅延日数)
5. 発覚後の対応(時系列)
6. 原因
7. 再発防止のために変えること
以上
原因を6番に置いているのは意図があります。先に原因を書くと、そこから逆算して事実のほうが歪みます。起きたことを並べ終えてから原因を書くと、後づけの理屈が入りにくくなります。
② 始末書(お詫びを中心に据える型)
1. 何をしてしまったか(一文で、言い訳を挟まない)
2. お詫びの言葉
3. 経緯(簡潔に。顛末書ほど詳しくしない)
4. 影響
5. 今後の対応と、変えること
以上
1番に条件をつけないでください。「立て込んでいたため」「引き継ぎが無かったため」を頭に置くと、読む人にはお詫びが届きません。事情があるなら3番の経緯に書きます。順番を入れ替えるだけで、受け取られ方が変わります。
③ 社外向けの報告書(お客様に経過を説明する型)
2. 発生した事象と、影響の範囲
3. 現在の状況(復旧済みか、対応中か)
4. 原因
5. 再発防止
6. 問い合わせ先
社外向けだけは順番が変わります。相手がいちばん先に知りたいのは、いま自分がどういう状態に置かれているかです。3番の現在の状況を後ろに回すと、読んでいる間ずっと不安が続きます。
AIに下書きさせるプロンプト3種
6項目が手元にあれば、ここから先は速く進みます。そのままコピーして、括弧の中を差し替えてお使いください。
① 箇条書きから顛末書の下書きを作る
・順番は「発生日時/発覚日時 → 事象 → 対象業務と関係者の役割 → 影響 → 発覚後の対応 → 原因 → 再発防止」
・メモに書かれていないことは書かないでください。足りない項目は「(未記入)」と残す
・推測や、私の気持ちの説明を足さないでください
・1文は60字以内。敬体で書く
(ここに6項目のメモを貼る)
2つ目と3つ目の指示が要になります。この縛りが無いと、AIはメモに無い経緯を自然な文章として補います。読み返したときに違和感が無いので、そのまま提出してしまいます。顛末書で最も避けたいのは、事実でないことが混ざることです。
② 事実と評価が混ざっていないか点検させる
・推測、感想、評価、責任の所在についての判断が入っている箇所を指摘する
・各箇所について「なぜ事実と言えないか」を1行で書く
・本文は書き直さず、指摘だけを出してください
(ここに下書きを貼る)
提出する前に、この1回を挟んでください。「書き直しはせず、指摘だけ」と縛るのが大事です。縛らないと、正しい指摘に混ぜて本文を全面的に書き換えてきます。書き換わった文面をそのまま出すと、自分が確認していない事実が載った文書に自分の名前が入ります。
③ 再発防止が実行できる内容か詰めさせる
・「誰が」「いつ」「何をもって完了とするか」が曖昧な点を突く
・気をつける、徹底する、注意する、といった言葉が入っていたら、それを何の作業に置き換えられるかを聞く
・代案は出さず、質問だけにしてください
(ここに再発防止の記述を貼る)
再発防止が「注意します」で終わる文書は、次に同じことが起きたときに何の助けにもなりません。質問に答えていくと、実行できる作業に変わります。チェックの担当を決める、確認の順番を1つ入れ替える。この程度で十分です。
社内の書類を通す文書という点では、稟議書と考え方が近い部分があります。決裁する人に向けた書き方は稟議書の書き方にまとめています。
事実と、評価やお詫びを混ぜない
この種の書類でいちばん多い失敗が、事実の記述に、評価やお詫びが挟まっていることです。書いている側には区別がつきにくく、読む側にはすぐ分かります。
| 混ざっている書き方 | 分けた書き方 |
|---|---|
| 確認を怠ったため、誤った数量で出荷しました | 出荷前の数量確認を行わずに出荷しました。指定は120個、出荷は210個でした |
| ご迷惑をおかけし、多大なご損害を与えました | 納品が2営業日遅れ、先方の組立工程が1日停止しました |
| 担当者の意識が低かったことが原因です | 確認手順が口頭で共有されており、手順書に記載がありませんでした |
| 今後このようなことがないよう徹底します | 出荷前に第三者が数量を照合する手順を、9月1日から手順書に追加します |
左と右で、書いている人の反省の深さは変わりません。違うのは次に同じことが起きるのを防げるかどうかです。左の書き方では、読んだ人に打てる手がありません。
「多大な」「甚大な」といった程度を表す言葉も、数量に置き換えてください。程度は読む人が判断します。書き手が判定して差し出すものではありません。
AIに任せてはいけないこと
| 内容 | |
|---|---|
| 任せていい | 箇条書きから下書きへの組み立て/事実と評価が混ざっていないかの点検/再発防止が実行できる内容かを詰める質問出し/敬体への整形 |
| 任せない | 起きた事実の確定/原因の断定/責任の所在の判断/処分に関わる判断/社外に出す文書の最終確認 |
事実を確定するのは人の仕事です。AIは、貼られたメモの範囲でしか事実を知りません。それでも文章としては自然につながるように書くため、メモの隙間を推測で埋めます。埋まった箇所は、読んでも不自然に見えません。提出前に、書いた内容の1行ずつを自分の記憶と突き合わせてください。
原因の断定も同じです。特に人が絡む原因は、AIに書かせると「担当者の確認不足」のような形にまとまりがちです。実際には手順や仕組みの側に原因があることが多く、そこを見落とすと再発防止が的外れになります。
処分に関わる話は、書き方の問題ではありません。始末書の提出が懲戒の手続きと結びついている場合、書く範囲も、提出の義務があるかどうかも変わってきます。就業規則の定めと、提出を求められた経緯によります。この判断は社会保険労務士や弁護士にご確認ください。提出を求められた側であれば、「どういう位置づけの文書か」を先に確認しておいてください。後から認識の食い違いが起きにくくなります。
もう1点、入れる情報にも線引きが要ります。関わった人の氏名、取引先名、金額などをそのままAIに貼ると、社外のサービスに情報を渡すことになります。線引きは会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。顛末書は、社内でも扱いの重い文書です。名前は「担当A」「取引先B」に置き換えてから貼ってください。
まず1枚だけ、書く前に整理してみてください
いきなり文章から書き始めると、必ず手が止まります。紙でもメモアプリでも構わないので、先に6項目を箇条書きで埋めてください。埋まらない項目があれば、そこが調べる先です。
実際にやってみると、書けない項目が出てきます。発覚の日時が分からないなら、まだ経緯を追いきれていません。影響の件数が書けないなら、範囲の確認が終わっていません。書けない項目は、文章力ではなく調査の不足を教えてくれます。
この6項目は、次に同じことが起きたときにも使えます。書式を作り直す必要はありません。1回使った型をそのまま社内で共有しておけば、次の人は書き出しで止まらずに済みます。
社内の決めごとや手順を文書にして、AIに読ませるところまでの流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。
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