稟議書の書き方|通る稟議に必要な5項目と、AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

出した稟議が戻ってきた。理由を聞くと「もう少し詳しく」と言われる。何を足せばいいのか分からないまま、案件だけが止まっている。社内で稟議を上げる立場の方と、受け取る側の社長に向けて書いています。

結論からお伝えします。稟議が差し戻されるのは、文章が下手だからではありません。決裁する人が確かめたい5項目のうち、どれかが抜けているからです。抜けやすいのは「なぜ今なのか」と「やらなかったらどうなるか」の2つ。5項目さえ手元にそろえば、文章に組み立てる作業はAIに任せられます。この記事では、5項目のチェックリストと、そのまま使える型3つ、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。

なぜ稟議は差し戻されるのか

差し戻しの理由は、たいてい書き方ではありません。読んだ人が判断できるだけの材料が乗っていないことです。決裁する側は、その場で承認するか保留にするかを決めます。材料が足りなければ「詳しく」としか言えません。

決裁者が見ている点材料が足りない稟議判断できる稟議
金額は妥当か「サービス導入費用一式」初期◯円+月額◯円。他社2社の見積と並べた
なぜ今なのか「業務改善のため」9月から人が1人減る。その前に段取りを終えたい
やらないとどうなるか(書いていない)手作業のままだと、月末の締めが2日遅れる
失敗したらどう戻すか(書いていない)月契約なので、合わなければ1か月で止められる

右の列が特別なことを書いているわけではありません。頭の中にはあるが、紙に落ちていないだけの情報がほとんどです。ここを毎回書き忘れるので、毎回同じ理由で戻ってきます。

相手に判断してもらう文書という点では、提案書と構造が同じです。社外に出す文書の組み立ては提案書・企画書づくりをAIに任せる方法にまとめています。

通る稟議書に入っている5項目

会社ごとに書式は違いますが、決裁者が確かめたいことは似ています。次の5項目を先に埋めてください。書式に合わせるのは後の作業です。

#項目書くことよくある抜け
1何を買うもの・頼むことを一言で製品名だけ書いて用途が無い
2いくら初期費用と、毎月かかる額を分ける「一式」でまとめて中身が見えない
3なぜ今この時期に決める理由「業務改善のため」で終わっている
4やらないと見送った場合に起きることそもそも書いていない
5誰がいつまでに担当者と完了の期日「導入後、順次」で期日が無い

抜けやすいのは3番と4番です。提案する側は必要だと分かっているので、理由を書く必要を感じません。決裁する側は、その必要性を共有していません。ここが埋まっていない稟議は、内容が良くても止まります。

4番は脅す欄ではありません。「見送っても半年は回る。ただし繁忙期に同じ議論をやり直す」と書けば十分です。見送るという選択肢を先に示すほうが、かえって通ります。

そのまま使える型3つ

よくある3場面を、コピーして使える形にしました。金額や日付は例なので、自社の数字に置き換えてお使いください。

① 備品・消耗品の購入

【件名】事務所プリンタの入れ替えについて
【何を】複合機1台(現行機は購入から7年・修理2回)
【いくら】本体◯円(初期のみ)/保守 月◯円
【なぜ今】修理部品の供給が今年で終わる。止まると請求書の発行ができない
【やらないと】故障時に代替機の手配で3〜5日かかる見込み
【誰がいつまでに】総務◯◯/9月末までに入れ替え完了
【添付】見積2社分

前例のある買い物は、決裁者も判断しやすい部類です。それでも「なぜ今か」は書いてください。今でなくてよい買い物は、後回しにされて忘れられます。

② ソフト・サービスの新規導入

【件名】請求書作成ソフトの導入について
【何を】請求書の作成と送付を行うクラウドサービス(1アカウント)
【いくら】初期0円/月額◯円(年間◯円)
【なぜ今】10月に取引先が増える。今の手作業だと締めが間に合わない
【やらないと】月末の2日間、他の業務を止めて請求作業に充てる状態が続く
【誰がいつまでに】経理◯◯/9月中に試用、10月から本運用
【止め方】月契約。合わなければ翌月から解約できる
【添付】比較表(3サービス)

毎月お金が出ていく提案には、「止め方」の1行を足してください。決裁者がためらうのは、始めることではなく、やめられなくなることです。1行あるだけで、承認の心理的な負担が下がります。

AI関連の稟議もこの型で通ります。費用の相場と予算の決め方はAI導入の費用はいくら?中小企業の相場にまとめています。

③ 外注・業務委託

【件名】採用ページ制作の外注について
【何を】採用ページの制作(原稿・撮影・公開まで)
【いくら】◯円(一括)/公開後の更新は社内で行う
【なぜ今】来春の募集に間に合わせるには、年内公開が必要
【やらないと】現行ページのまま募集する。昨年の応募数は◯件
【誰がいつまでに】担当◯◯/12月公開、11月中に原稿確定
【社内でやらない理由】撮影と原稿で約◯時間。担当者の通常業務と重なる
【添付】見積、他社事例

外注の稟議には「社内でやらない理由」が要ります。これが無いと「うちでやれないのか」で必ず止まります。自分たちの時間をどれだけ使うことになるかを書けば、その1往復が省けます。

AIに下書きさせるプロンプト3種

5項目が埋まっていれば、あとは文章にする作業です。そのままコピーして、( )の中だけ書き換えてお使いください。

① メモを稟議書の形にする

以下のメモを、社内稟議の文面に整えてください。
・「何を/いくら(初期と月額を分ける)/なぜ今/やらない場合/誰がいつまでに」の5項目で構成する
・メモに書かれていない事実、数字、効果を足さない
・埋まっていない項目は、勝手に埋めず「未記入」と書いて残す
・全体で400字以内、社内向けの敬体
(ここにメモを貼る)

3つ目の縛りが要です。これを外すと、AIは空欄をそれらしい文で埋めます。埋まった稟議は一見きれいですが、質問された瞬間に答えられません。未記入のまま出てくるほうが安全です。

② 決裁者の立場で穴を探させる

あなたは、この稟議を受け取る側の経営者です。
以下の稟議書を読み、承認をためらう点を最大5つ挙げてください。
・各点について「何が分からないか」を1行で書く
・重要だと思う順に並べる
・書き直しはせず、指摘だけを出す
(ここに稟議書の下書きを貼る)

提出する前に、この1回を挟んでください。「書き直しはせず、指摘だけ」と縛るのが大事です。縛らないと、指摘に混ぜて本文を全面的に書き換えてきます。書き換わった文面をそのまま出すと、自分の言葉ではない稟議を説明する羽目になります。

③ 差し戻された稟議を立て直す

差し戻された稟議書と、言われた内容を貼ります。
・言われた内容が、5項目(何を/いくら/なぜ今/やらない場合/誰がいつまでに)のどこに当たるかを判定してください
・その項目に何を足せば答えになるか、質問の形で3つ挙げてください
・私が答えられる質問だけにしてください(社外に確認が要るものは分けて示す)
(ここに稟議書と、言われた内容を貼る)

差し戻しは、言葉が短いほど意図が読めません。5項目のどこの話かに変換できれば、直す場所は1か所で済みます。

金額の根拠だけは自分で作る

稟議で唯一、AIに任せてはいけない部分が金額です。見積の数字を貼れば計算はしてくれますが、その数字が正しいかどうかは判断できません。

やること任せ方
見積書から金額を拾う自分で拾う。転記後に元の見積と並べて目視で照合する
初期と月額を分けて書く任せてよい。ただし合計は電卓で検算する
年間いくらになるか任せてよい。桁を必ず確認する
他社と比べて妥当か人が判断する。相場はAIの推測が混ざる
社内の決裁金額の区分人が確認する。自社の規程を見る

最後の行は特に気をつけてください。決裁の区分は会社ごとに違い、AIは自社の規程を知りません。金額によって決裁者が変わる会社では、区分を間違えた稟議はそれだけで差し戻されます。

金額を扱う書類でどこまで任せるかは、見積書と請求書でも同じ考え方です。詳しくは見積書・請求書づくりをAIに任せる方法をご覧ください。

AIに任せてはいけないこと

内容
任せていい下書きの組み立て/5項目に沿った整形/決裁者視点での穴探し/差し戻し内容の翻訳
任せない金額の妥当性の判断/稟議を出すかどうかの決定/社内の決裁区分の判定/人事や処遇に関わる内容

出すかどうかを決めるのは人の仕事です。その案件を今このタイミングで上げるべきかは、社内の空気や他の進行中の案件を知らないと決められません。AIはそこを知らないまま、通りそうな文面を作ります。

人事や処遇に関わる稟議では、個人の名前や評価の記録をそのまま貼らないでください。入れていい情報の線引きは会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。

契約や法令に関わる内容も同じです。文面を整えるところまでは任せられますが、中身の判断は弁護士や社会保険労務士にご確認ください。

まず次の1本だけ試してみてください

書式を変える必要はありません。次に出す1本だけ、提出の前に5項目がそろっているか見てください。それで十分です。

見てみると、その場で気づくことがあります。3番と4番が書けないなら、まだ提案が固まっていません。5番の期日が入らないなら、担当が決まっていません。差し戻される前に、自分で分かります。

社内の決めごとを文書にして、AIに読ませるところまでの流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

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