退職証明書と在職証明書の作り方|違いと入れる項目、使い道別の型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】
先月辞めた元従業員から「退職証明書を出してほしい」と電話が来た。社内に使える雛形がなく、何をどこまで書けばいいのか分からない。従業員を雇っている会社の経営者に向けて書いています。人の出入りが少ない会社ほど、急に頼まれて慌ててしまう書類です。
結論からお伝えします。退職証明書で困るのは、本人が求めていない項目まで書いてしまうことです。退職証明書は労働基準法に定めがあり、書いてよい項目と書いてはいけない項目が決まっています。在職証明書には労働基準法の定めがなく、提出先が求める項目に合わせて作ります。同じ「証明書」でも、作り方の起点が違います。請求の受付から下書きまでは、AI(Claude)に任せられます。この記事では、2つの違い、入れる項目、請求を受けたときの流れ、使い道別の型3種をまとめました。コピーして使えるプロンプトもご紹介します。
証明書づくりでつまずく3つのパターン
証明書を出すこと自体は、多くの会社で年に数回あります。困りごとは、頼まれたときの受け方で3つに分かれて出てきます。
| つまずき | 会社で起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 本人が求めていない項目まで書く | 「在籍期間を証明してほしい」と頼まれたのに、前に使った雛形のまま退職理由の欄まで埋めて渡した | 請求された項目をまず紙に残し、その項目だけを書く |
| 退職証明書と離職票を取り違える | 本人は失業給付の手続きのために離職票を待っていたのに、会社は退職証明書を送って済んだと思っていた | 何に使う書類なのかを、受付のときに1行で聞いておく |
| 在職証明書の項目を会社の都合で決める | 賃貸の審査用に出した証明書に年収の欄がなく、本人が不動産会社から出し直しを求められた | 提出先から指定の様式や項目が出ていないかを、先に本人に確かめてもらう |
3つに共通しているのは、「何のために、どの項目を証明してほしいのか」を聞かずに書き始めている点です。雇い入れのときの書面がそろっていないと、証明書に書く入社日や業務の種類を探すところから始まります。労働条件通知書の作り方で、入口の書面から整えておくと、証明書は写すだけになります。
退職証明書と在職証明書の違い
どちらも会社が働いていた事実を証明する書類です。けれど、法律との関係と、項目を決める人が違います。
| 見るところ | 退職証明書 | 在職証明書 |
|---|---|---|
| 誰が頼むか | 辞めた人、または辞める人 | 今働いている人 |
| 法律の定め | 労働基準法第22条に定めがある | 労働基準法に交付の定めはない |
| 項目を決める人 | 法律の範囲の中で、本人が請求した項目 | 提出先(不動産会社・金融機関・転職先・自治体など) |
| よくある使い道 | 転職先への提出、次の職場での手続き | 賃貸の審査、ローンの申し込み、保育園の手続き |
退職証明書について、労働基準法第22条第1項は次のように定めています。「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」(出典=e-Gov法令検索・労働基準法)。
在職証明書は、会社によって呼び方も書式もばらばらです。保育園の手続きでは、自治体が決めた「就労証明書」の様式を求められる場面があります。会社の雛形で作る前に、提出先の様式が無いかを確かめてください。様式があるなら、会社の雛形は使いません。
もう1つ、よく混ざるのが離職票です。離職票は雇用保険の手続きに使う書類で、退職証明書とは別物です。手続きの細かな流れは、会社を管轄するハローワークに確認してください。
入れる項目と、書いてはいけないこと
退職証明書に書ける項目は、法律で5つに決まっています。ただし、5つ全部を書くのではなく、本人が請求した項目だけを書きます。
| 項目 | 書くこと | 会社で確かめる元の書類 |
|---|---|---|
| 1. 使用期間 | 入社日と退職日 | 労働条件通知書、従業員名簿 |
| 2. 業務の種類 | 担当していた仕事の内容 | 労働条件通知書、業務分担の一覧 |
| 3. その事業における地位 | 役職や立場 | 辞令、組織図 |
| 4. 賃金 | 退職時点の基本給や手当 | 賃金台帳 |
| 5. 退職の事由 | 自己都合、契約期間の満了など。解雇の場合はその理由を含む | 退職届、解雇の通知、契約書 |
書いてはいけないことも、同じ第22条に書かれています。第3項は「前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。」、第4項は証明書に「秘密の記号を記入してはならない。」と定めています。そして労働基準法第120条では、第22条第1項から第3項までに違反した者は「三十万円以下の罰金に処する。」とされています(出典=e-Gov法令検索・労働基準法)。
つまり、親切のつもりで欄を全部埋めるのが、いちばん危ない書き方です。本人が「期間と業務の種類だけ」と言ったなら、退職の事由の欄は作らないか、空けたまま渡します。
在職証明書は、提出先の指定が無ければ次の項目が土台になります。年収や勤務時間は求められたときだけ足してください。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 氏名と生年月日 | 本人確認のため。住所は提出先から求められたときだけ |
| 入社日 | 在籍期間を示す起点 |
| 雇用形態と職種 | 正社員、パートなど。担当している仕事 |
| 証明日と会社の記名押印 | 会社名、所在地、代表者名、担当者の連絡先 |
| (求められたときだけ)年収・勤務時間 | 賃金台帳の数字から写す。見込みの金額は書かない |
請求を受けてから渡すまでの流れ
証明書は、書く作業より受ける作業のほうが大事です。次の5つの手順を、毎回同じ順番で回してください。
| 手順 | やること | 残すもの |
|---|---|---|
| 1. 受け付ける | 誰から、いつ、どの証明書の請求があったかを記録する | 受付の紙(型3) |
| 2. 項目を確かめる | 証明してほしい項目と使い道、提出先の様式の有無を本人に確かめる | 受付の紙のチェック欄 |
| 3. 元の書類から写す | 入社日、業務の種類、賃金を、記憶ではなく書類から写す | 参照した書類の名前 |
| 4. 別の人が読み合わせる | 書いた人とは別の人が、請求された項目と一致しているかを見る | 確認者の名前と日付 |
| 5. 渡して控えを取る | 渡した日と方法(手渡し・郵送)を記録し、控えを保管する | 控えと送付の記録 |
2番の「項目を確かめる」を電話だけで済ませないでください。口頭だと、あとで「退職理由は書かないでと言った」「言っていない」の話になります。メールや受付の紙で、本人の言葉のまま残しておくと、4番の読み合わせもその紙を見るだけで済みます。
控えは、本人の従業員名簿と同じ場所に置きます。名簿の書き方がまだ決まっていない場合は、従業員名簿の作り方と合わせてください。入社から退職、証明書の発行までが1人1冊にまとまります。
そのまま使える型3種(使い道別)
中小企業でよく出てくるのは、次の3つの書類です。◯の部分を埋めれば、そのまま下書きになります。型1は、本人が請求した項目の行だけを残して使ってください。
型1|退職証明書(請求された項目だけを残す)
退職証明書 ◯◯◯◯ 殿 以下の事項について、あなたの請求に基づき証明します。 【使用期間】 ◯年◯月◯日 から ◯年◯月◯日 まで 【業務の種類】◯◯◯◯ 【地位】 ◯◯◯◯ 【賃金】 基本給 月額◯◯◯円(◯年◯月時点) 【退職の事由】◯◯◯◯ ※ 請求のなかった項目の行は削除してから交付する ◯年◯月◯日 所在地 会社名 代表者名 印
型2|在職証明書(提出先の指定が無いとき)
在職証明書 氏名 ◯◯◯◯ 生年月日 ◯年◯月◯日 上記の者は、当社に次のとおり在職していることを証明します。 【入社日】 ◯年◯月◯日 【雇用形態】 ◯◯(正社員・パートなど) 【職種】 ◯◯◯◯ (求められた場合のみ) 【年収】 ◯◯◯円(◯年分) 【勤務時間】 週◯時間 提出先 ◯◯◯◯ 用途 ◯◯◯◯ ◯年◯月◯日 所在地 会社名 代表者名 印 担当者・連絡先 ◯◯◯◯
型3|証明書の請求受付票(社内用)
証明書 請求受付票 受付日 ◯年◯月◯日 受付者 ◯◯◯◯ 請求者 ◯◯◯◯(在職中・退職済み) 受け方 電話・メール・来社 ■ 請求された証明書 □ 退職証明書 □ 在職証明書 □ その他(◯◯◯◯) ■ 証明してほしい項目(本人の言葉のまま) □ 使用期間 □ 業務の種類 □ 地位 □ 賃金 □ 退職の事由 □ その他(◯◯◯◯) ■ 使い道と提出先 使い道 ◯◯◯◯ 提出先の様式 あり・なし ■ 作成と確認 作成者 ◯◯◯◯ 確認者 ◯◯◯◯ 確認日 ◯月◯日 ■ 交付 交付日 ◯月◯日 方法 手渡し・郵送 控えの保管場所 ◯◯◯◯
3つのうち、いちばん先に用意してほしいのは型3の受付票です。受付票があれば、請求された項目が紙に残り、型1で消す行も迷いません。入社のときに交わす書面をまだそろえていない場合は、入社誓約書と身元保証書の作り方も合わせてご覧ください。
AIに下書きさせるプロンプト3種
証明書づくりで時間を取られるのは、文面を考える部分ではありません。請求の中身を整理して、書いてよい項目を決める部分です。そこはAIに手伝わせられます。以下はコピーしてそのまま使えます。氏名や金額は「◯」のまま渡し、仕上げは社内で埋めてください。
プロンプト1|請求のメールから、受付票を埋めさせる
あなたは中小企業の総務担当です。下の「届いたメール」を読んで、証明書の請求受付票を埋めてください。 【受付票の項目】 ・請求された証明書の種類 ・証明してほしい項目(本人の言葉をそのまま引用する) ・使い道と提出先 ・提出先の様式があるかどうか ・本人に聞き返す必要があること 【条件】 ・メールに書かれていない項目は「記載なし」と書き、推測で埋めない ・本人に聞き返す文は、1つの質問につき1文にする ・氏名、住所、金額は「◯」に置き換えて出す 【届いたメール】 (ここに貼る。氏名や連絡先は消してから貼る)
プロンプト2|受付票から、証明書の下書きを作らせる
下の「受付票」をもとに、証明書の下書きを作ってください。 【出し方】 ・受付票で請求された項目の行だけを出す ・請求されていない項目は、欄ごと出さない ・日付、氏名、金額はすべて「◯」の空欄にする ・末尾に、会社名・所在地・代表者名・押印の欄を置く 【条件】 ・請求されていない項目を「参考までに」と足さない ・退職の理由について、受付票にない言い回しを足さない ・法的に問題がないかの判断は書かない 【受付票】 (ここに貼る)
プロンプト3|できた証明書と受付票を読み合わせさせる
下の「受付票」と「証明書の案」を読み比べて、次の3つを一覧にしてください。 【1】受付票で請求されていないのに、証明書に書かれている項目 【2】受付票で請求されているのに、証明書に抜けている項目 【3】証明書の中で、空欄のまま残っている箇所 【出し方】 ・「番号/受付票の記載/証明書の記載/気づいた点」の4列の表 ・直し方の提案はしない。食い違いを並べるだけにする 【受付票】 (ここに貼る) 【証明書の案】 (ここに貼る)
プロンプト2で「請求されていない項目を足さない」と縛っているのには理由があります。AIに書類を任せると、親切のつもりで欄をそろえ、よく使われる項目を足してきます。退職証明書では、その親切が第22条第3項に触れる書き方になります。
狙ったものが出てこないときは、条件を足すより先に、受付票の中身が渡せているかを見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。
AIに任せてはいけないこと
| 任せてよいこと | 人が決めること |
|---|---|
| 請求のメールを読んで、受付票の項目に振り分ける | 本人に何を聞き返すか、どう伝えるか |
| 受付票をもとに、証明書の下書きを作る | 証明書に書く日付・金額・事由が事実と合っているか |
| 受付票と証明書を読み合わせ、食い違いを並べる | 食い違いをどう直すか、誰が最後に確認するか |
| 提出先の様式に合わせて、項目の並びを整える | 解雇の理由をどう書くか(社会保険労務士や弁護士に確認する) |
| 発行した証明書の一覧を作る | 離職票など雇用保険の手続き(ハローワークに確認する) |
いちばん気をつけたいのは、賃金台帳や退職届をそのまま貼ることです。そこには本人の氏名、住所、給与の額、辞めた理由が並んでいます。本人は、その書類が会社のAIに渡ることを知りません。型を整えたいだけなら、名前と金額を伏せた受付票で足ります。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。
もう1つ、解雇にかかわる証明書の文面をAIに決めさせないでください。解雇の理由の書き方は、その後の話し合いや争いに直結します。社会保険労務士や弁護士に確認する範囲です。書面を作る作業と、書いてよいかを決める判断は、別の人が担当する仕事だと考えてください。
まず、請求を受け付ける紙を1枚用意してください
証明書の雛形を全部そろえてから始めると決めると、手が止まります。型3の受付票を1枚印刷して、電話の横に置いてください。
次に請求が来たとき、受付票を埋めながら話を聞くだけで、何の証明書で、どの項目が要り、どこに出すのかがそろいます。急に頼まれて慌てる原因は、書く中身ではなく、聞く中身が決まっていないことです。
1件ぶんで流れが回ったら、型1と型2を会社の名前で保存してください。次からは、受付票を見ながら行を消して、空欄を埋めるだけで済みます。
人の出入りにかかわる書類は、店舗や拠点が増えるほど本部に集まります。複数店舗を展開する小売業様では、店舗の事務作業やマニュアルのたたき台づくりをAIに集めました。進め方は小売業様の事例(CASE 01)をご覧ください。
証明書以外にどの仕事から手をつけるか迷う場合は、AIに任せられる仕事の一覧を部署ごとに並べています。総務の仕事だけでも、下書きまでを任せられるものがいくつも見つかります。
経営者の頭のなかにあった手続きの決まりを、会社の側に残していく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。
頼まれるたびに探している総務の書類を
30分で一緒に洗い出します。
まずは30分、話すだけで大丈夫です
資料も準備もいりません。
いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。
無理におすすめすることはありません。
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