注意喚起の文例|社内に角を立てずに伝える5項目と書く順番、そのまま使える例文6種、掲示・メール・朝礼の使い分けと書かないほうがよいこと、AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】
戸締まりを忘れる日が続いた。宛先を間違えたメールが外に出た。全員に気をつけてほしいのに、きつく書けば職場が固くなり、やわらかく書けば読み流されます。そんな場面で文面をどう書くかで迷う経営者と、総務を任された方に向けて、型と例文を書きました。
結論からお伝えします。注意喚起は、人を責める文書ではなく、次に同じことを起こさないための行動を1つ伝える文書です。起きたこと、困る理由、してほしい行動、いつから、聞く先の5項目を、短く並べます。この記事では、5項目の書き方と例文6種、伝える手段の使い分けをまとめました。AI(Claude)にコピーして使えるプロンプトもご紹介します。
注意喚起とは何か、指示や個人への注意と何が違うか
注意喚起は、起きたこと、または起きそうなことを全員に知らせ、気をつける行動をそろえてもらうための文書です。掲示、メール、チャット、朝礼の一言など、形はいろいろあります。似た場面で使う「業務の指示」や「個人への注意」とは、相手と目的が違います。
| 注意喚起 | 業務の指示 | 個人への注意 | |
|---|---|---|---|
| 相手 | 全員、または部署の全員 | 担当する人 | 本人だけ |
| 目的 | 同じことを起こさないよう行動をそろえる | 仕事を進める | 本人に事実を伝え、直してもらう |
| 伝える場所 | 掲示、全員あてのメールやチャット、朝礼 | 担当者あての連絡 | 人のいない場所で、1対1で |
| 書くこと | 起きたことと、これからの行動 | 何を、いつまでに | 事実と、期待していること |
| 名前 | 出さない | 担当者の名前を書く | 本人にだけ伝える |
大事な線引きは、特定の人に伝えるべきことを、全員あての注意喚起で済ませないことです。全員あての文面は、心当たりのない人には届かず、心当たりのある人には「自分のことを全員の前で言われた」と受け取られます。1人の行動が理由なら、先に本人と話します。そのうえで、ほかの人にも起こりうることだけを全員に知らせます。
起きかけた出来事を記録に残す型は、ヒヤリハット報告書の書き方にまとめています。注意喚起は、その記録から「全員に知らせること」を取り出して作ると、事実がぶれません。
入れる5項目と書く順番
注意喚起は、短いほど読まれます。次の5項目を、上から順に並べてください。掲示なら紙1枚、メールやチャットなら画面を動かさずに読める量が目安です。
| 順番 | 項目 | 書き方 |
|---|---|---|
| ① | 題名 | 何についての話かを一言で。「お願い」「ご注意」だけにしない |
| ② | 起きたこと | いつ、どこで、何が起きたか。事実だけを書き、誰がとは書かない |
| ③ | 困る理由 | そのままにすると、お客様や仲間に何が起きるか。1文で |
| ④ | してほしい行動 | 1つか2つにしぼる。「気をつける」ではなく、手を動かす形で書く |
| ⑤ | いつから・聞く先 | 始める日、続ける期間、分からないときに聞く人 |
いちばん大事なのは④です。「注意してください」「徹底してください」は、読んだ人が何をすればよいか分かりません。次の表のように、目で見て確かめられる行動に置き換えます。
| あいまいな書き方 | 行動が分かる書き方 |
|---|---|
| 戸締まりを徹底してください | 最後に出る人は、裏口の鍵をかけ、入口の点検表に名前と時刻を書いてください |
| メールの誤送信に注意してください | 社外あてのメールは、送る前に宛先を声に出して読んでください |
| 体調管理に気をつけてください | 熱があるときは出社の前に、〇〇まで電話で知らせてください |
| 備品は大切に使ってください | 使い終わった工具は、棚の番号と同じ場所に戻してください |
行動を書いたら、なぜその行動なのかを1文添えます。理由が分かると、書いていない場面でも同じ考え方で動けます。理由のない決まりは、見ている人がいないときに守られなくなります。
角を立てない言い回し(直す前と直した後)
注意喚起が職場を固くするのは、内容よりも言い回しが理由であることが多いです。人を主語にせず、出来事と行動を主語にします。
| 直す前 | 直した後 | 直した点 |
|---|---|---|
| 最近、戸締まりを忘れる人がいます | 今週、裏口の鍵が開いたままの朝が2回ありました | 「人」ではなく「出来事」を書いた |
| 何度言っても直りません | 先月もお知らせしましたが、同じことが続いています | 感情ではなく経過を書いた |
| 常識として守ってください | 次の手順でお願いします | 評価の言葉を外し、手順を示した |
| 守れない人には厳しく対処します | 困ったときや、手順が合わないときは〇〇まで知らせてください | 脅しではなく、相談の窓口を書いた |
| 絶対に〜しないでください | 〜の前に、〇〇を確かめてください | 禁止を、代わりの行動に替えた |
「厳しく対処します」のように処分をにおわせる書き方は、全員あての文面には入れません。処分や評価に関わる話は、会社の決まり(就業規則など)と手続きに沿って、本人と個別に進めるものです。扱いに迷うときは、社会保険労務士などの専門家に先に確かめてください。この記事では、その結論は書きません。
やわらかくしすぎて伝わらない文面も、同じくらい困ります。ていねいな言葉で書き、行動ははっきり書く。この2つは両立します。「恐れ入りますが、できる範囲でご協力を」ではなく、「お手数ですが、次の2つをお願いします」と書きます。
そのまま使える例文6種
場面ごとの例文を6つ並べます。〇〇の部分を置き換えて使ってください。どれも、掲示にもメールにも使える長さにしてあります。
例文1|戸締まり・施錠(もっとも基本の形)
【お知らせ】退社するときの戸締まりについて 今週、朝に出社したとき、裏口の鍵が開いたままの日が2回ありました。 夜のあいだに人が入れる状態になり、お客様からお預かりした書類や 商品を守れません。 〇月〇日(〇)から、次の2つをお願いします。 1. 最後に出る人は、裏口・窓・入口の順に鍵を確かめる 2. 入口の点検表に、名前と時刻を書く 最後の1人が誰か分からないときは、残っている人どうしで 声をかけ合ってください。 分からないことは、〇〇(内線〇〇)まで。
例文2|メールの誤送信・情報の持ち出し
【ご注意】社外あてのメールを送る前の確かめについて 〇月〇日、お客様あての見積書が、別のお客様に届く出来事がありました。 先方にはおわびし、削除していただいています。 同じ名字の方が宛先の候補に並び、選び間違えたことが理由でした。 本日から、社外あてのメールは次の手順でお願いします。 1. 送る前に、宛先の会社名と名前を声に出して読む 2. 添付ファイルは、開いて中身を確かめてから付ける 3. 送り間違いに気づいたら、自分で直そうとせず、すぐ〇〇に知らせる 間違いは誰にでも起こります。早く知らせてもらえれば、 会社として早く動けます。
例文3|体調が悪いときの連絡(冬の時期)
【お願い】体調がすぐれないときの連絡について 寒くなり、体調をくずす人が増える時期になりました。 無理をして出社すると、本人の回復が遅れ、周りにも広がります。 〇月〇日から〇月末まで、次のようにお願いします。 1. 熱やせきがあるときは、出社の前に〇〇まで電話で知らせる (チャットではなく電話で。朝〇時までに) 2. 当日の予定と、代わりに頼みたい仕事を、電話で一緒に伝える 3. 出社中に具合が悪くなったら、がまんせず〇〇に声をかける 休むことを言い出しにくい、という声があれば、〇〇まで教えてください。
例文4|備品・共有物の使い方
【お願い】共用の工具の戻し方について 今月に入り、使いたい工具が棚になく、探す時間がかかったという声が 3件ありました。現場に出る前の準備が遅れています。 本日から、次の2つをお願いします。 1. 使い終わった工具は、棚の番号と同じ場所に戻す 2. 現場に持ち出すときは、棚の横の持ち出し表に名前と戻す日を書く 棚の場所が使いにくい、番号が見えにくいなど、 気づいたことがあれば〇〇まで知らせてください。棚のほうを直します。
例文5|遅れるとき・休むときの連絡
【お知らせ】遅れるとき・休むときの連絡の方法について 先月、連絡がないまま始業の時刻を過ぎ、朝の配達の組み直しに 時間がかかった日がありました。 連絡の方法がばらばらだったので、〇月〇日から次のようにそろえます。 1. 遅れる・休むと分かった時点で、〇〇に電話する 2. 電話がつながらないときは、〇〇にかけ直す 3. 伝えること:名前、理由、着ける時刻、その日の予定 電車の遅れなど、自分では防げない理由でもかまいません。 早く分かれば、周りで補えます。
例文6|不審なメール・電話
【ご注意】取引先を名乗る不審なメールについて 〇月〇日、取引先の名前で「振込先が変わりました」というメールが 届きました。先方に電話で確かめたところ、送っていないとのことでした。 本日から、次の3つをお願いします。 1. 振込先の変更や、急ぎの支払いを求める連絡は、1人で進めない 2. メールに書かれた番号ではなく、こちらで控えている番号に 電話して確かめる 3. 迷ったら、開く前・返信する前に〇〇に見せる 「変だな」と感じた時点で知らせてください。 間違いだったとしても、知らせてくれたことを歓迎します。
どの例文も、最後の1行に「知らせてほしい」「聞いてほしい」を入れています。注意喚起は、読んだ人が黙ってしまうと失敗です。困りごとや手順の合わない所が出てくれば、決まりのほうを直せます。
掲示・メール・チャット・朝礼の使い分けと、繰り返し方
同じ文面でも、伝える手段で届き方が変わります。1つの手段だけで済ませず、2つを組み合わせます。
| 手段 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 掲示(貼り紙) | その場所で行動してほしいとき。鍵、備品、手洗い場 | 行動する場所のすぐ横に貼る。古い貼り紙は外す |
| メール | 記録を残したいとき。手順が3つ以上あるとき | 題名で中身が分かるようにする。長くしない |
| チャット | 今日から始めたいとき。急ぐとき | 流れてしまうので、決まりとして残す場所を別に用意する |
| 朝礼・終礼 | 理由や背景を伝えたいとき。質問を受けたいとき | 休みの人に届かない。文面でも同じ内容を出す |
| 個別の声かけ | 特定の人に関わるとき | 全員あての注意喚起の前に済ませる |
朝礼で口頭だけで伝えると、その日に休んだ人と、あとから入った人には届きません。朝礼で話す型は朝礼のネタに困らない決め方にまとめています。話した内容は、同じ日のうちに文面でも出してください。
貼り紙は、増えるほど読まれなくなります。新しいものを貼るときに、役目を終えたものを1枚外します。期間を決めた注意喚起には、紙の下に「〇月〇日まで」と書いておくと、外し忘れが減ります。
1回で直らないときは、同じ文面をもう一度出すのではなく、手順のほうを疑います。鍵の点検表が入口から遠い、持ち出し表にペンがない、連絡先の人が朝は電話に出られない。守れない理由が手順の側にあることは、珍しくありません。
書かないほうがよいことと、出す前の点検
全員あての文面は、書いた人が思うより長く残り、広く読まれます。次のことは書きません。
| 書かないほうがよいこと | 理由と直し方 |
|---|---|
| 名前や、誰か分かる書き方 | 「先週の遅番の人が」も名指しと同じ。本人とは個別に話し、文面には出来事だけを書く |
| 処分・評価をにおわせる言葉 | 全員あての文面で扱う話ではない。決まりと手続きに沿って個別に進める |
| 「常識」「当たり前」「社会人として」 | 人によって中身が違う。してほしい行動を具体的に書く |
| 確かめていない原因 | 「不注意により」と決めつけない。分かっている事実だけを書く |
| お客様や取引先の名前 | 社内の文面でも、掲示は外の人の目に入る。「お客様」「取引先」と書く |
| 行動を5つも6つも並べること | 読まれず、守られない。1つか2つにしぼり、残りは次の回に分ける |
| 終わりのない決まり | 期間か、見直す日を書く。様子を見て続けるかを決める |
出す前に、次の点を確かめます。
| 点検すること | 見るところ |
|---|---|
| 事実 | 日付、回数、場所は合っているか。聞いた話だけで書いていないか |
| 個別の対応 | 関わった本人と、先に話してあるか |
| 行動 | 読んだ人が、今日から同じ動きをできるか |
| 道具と場所 | 点検表、ペン、連絡先など、行動に必要なものが用意されているか |
| 聞く先 | 名前を書いた人は、聞かれる準備ができているか |
| 読む人 | 掲示する場所に、お客様や業者の方が入らないか |
| 外す日 | いつ外すか、いつ見直すかを決めたか |
AIに下書きさせるプロンプト3種と、任せないこと
注意喚起は項目と順番が決まっているので、AI(Claude)に下書きさせやすい文書です。腹が立っているときほど、文面は強くなります。事実のメモだけを渡して、言い回しをAIに整えさせると、落ち着いた文面になります。
プロンプト1|メモから注意喚起の下書きを作る
あなたは中小企業の総務を手伝っています。 下のメモをもとに、社内の全員に向けた注意喚起の文面を作ってください。 条件: ・題名、起きたこと、困る理由、してほしい行動、 いつから・聞く先、の5項目をこの順で入れる ・人を主語にせず、出来事と行動を主語にする ・してほしい行動は2つまで。「注意する」「徹底する」ではなく、 手を動かす形で書く ・「常識」「当たり前」や、処分をにおわせる言葉は使わない ・メモに書いていない事実や原因を足さない。 足りない項目は「(要確認)」と書く ・掲示1枚に収まる量にする ・です・ます調 <メモ> ・起きたこと:(例:今週、裏口の鍵が開いたままの朝が2回あった) ・困る理由:(例:預かった書類と商品を守れない) ・してほしいこと:(例:最後に出る人が鍵を確かめ、点検表に書く) ・いつから:(例:来週の月曜から) ・聞く先:(例:総務の〇〇)
プロンプト2|きつい文面を、角の立たない形に直す
下の文面は、社内の全員に向けた注意喚起の下書きです。 内容は変えずに、言い回しだけを直してください。 条件: ・人を責める表現、評価する表現を、出来事と行動の表現に替える ・禁止の形(〜しないでください)は、代わりの行動に替える ・ていねいにしても、してほしい行動はあいまいにしない ・直した所を、直す前・直した後・理由の3列の表で見せる <下書き> (ここに下書きを貼る)
プロンプト3|出す前の点検をしてもらう
下の注意喚起を、受け取る従業員の立場で読んで点検してください。 見てほしいこと: ・誰のことか分かってしまう書き方がないか ・読んだあと、今日から何をすればよいかが分かるか ・守るのがむずかしそうな手順がないか。あれば理由も ・決めつけている原因や、確かめていない事実がないか ・読んだ人が聞きたくなりそうな質問を5つ 直した文は書かず、気になる所と理由だけを表にしてください。 <注意喚起> (ここに下書きを貼る)
| AIに任せてよいこと | 人が決めること |
|---|---|
| 5項目をそろえた下書きを作る | 全員に知らせる話か、本人と話す話か |
| きつい言い回しを見つけて直す | どの行動をお願いするか |
| 守りにくい手順を挙げる | 道具や場所をどう直すか |
| 聞かれそうな質問を挙げる | 処分や評価に関わる判断 |
メモを渡すときは、関わった人の名前やお客様の名前を〇〇に置き換えます。線引きは会社でAIに入れていい情報・ダメな情報で先に確かめてください。条件を並べて渡す指示の書き方はAIプロンプトの書き方にまとめています。お客様に向けて出すお知らせは、相手も目的も違います。そちらの型はお知らせ文・案内文をAIに任せる方法をご覧ください。
出した注意喚起は、会社の決まりとして残す
注意喚起は、出して終わりにすると、半年後に同じことが起きます。うまくいった行動は、会社の決まりや手順書に書き足します。出した文面、出した日、そのあとどうなったかの3つを、1つの場所に残してください。
この記録があれば、新しく入った人に「うちではこうしている」と理由つきで渡せます。経営者がその場その場で口で伝えていたことが、会社の決まりとして残ります。口で伝えてきた決まりを文書にする流れは社内ルールの文書化でご紹介しています。掲示とお知らせ文を同じ内容から作る流れはお知らせ文・掲示物にまとめました。
気づいて、言葉を選んで、全員に伝える。この仕事は、何かが起きるたびに経営者に戻ってきます。型と過去の文面をAIに渡せる形にしておくと、次は事実のメモを書くだけで済みます。私たちが会社ごとに何をつくるかはAI導入支援とは|何をつくるのかにまとめています。
何かが起きるたびに経営者に戻る「伝える仕事」を
30分で一緒に、会社の型にします。
まずは30分、話すだけで大丈夫です
資料も準備もいりません。
いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。
無理におすすめすることはありません。
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