辞令の書き方|採用・異動・昇格で入れる7項目と出す順番、そのまま使える例文4種と社内への知らせ方、AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

辞令とは、採用・異動・昇格などを会社が社員本人に正式に伝える書面です。決まるたびに前回の辞令を探し、書き方や内示との違いを調べ直している会社の経営者と、人事や総務を任された方に向けて、入れる7項目と出す順番、社内への知らせ方をまとめました。

結論からお伝えします。辞令で大事なのは、立派な文体ではありません。「誰に」「何を」「いつから」が1枚で読み違えずに分かり、渡したあとに社内の記録がそろうことです。辞令そのものは短い書面です。迷うのは、書く項目の抜けと、内示から社内への知らせまでの順番です。この記事では、辞令を出す場面と、内示・辞令・社内への知らせの違いを整理しました。辞令に入れる7項目、採用・異動・昇格・兼務の例文4種、渡したあとにやることの順番もまとめています。AI(Claude)にコピーして使えるプロンプトもご紹介します。

辞令でつまずく3つのパターン

辞令は、小さな会社では年に数回しか出さない書面です。前回の辞令がどこにあるか分からず、毎回ひな形を探すところから始めている会社が少なくありません。よくあるつまずきを3つ並べます。

つまずき会社で起きること直し方
発令日を書かない「いつから新しい部署か」が本人と上司で食い違い、給与や手当の切り替え日もずれる「〇年〇月〇日付をもって」と、効力が始まる日を必ず書く
内示より先に社内に広まる本人が辞令を受け取る前に、ほかの社員から異動を聞かされる内示、辞令の交付、社内への知らせの順番を決めておく
渡したあとの記録を直さない名簿・連絡網・システムの権限が古いままで、前の部署の情報が見え続ける辞令を渡した日に直す一覧を作り、上から順に消していく

3つに共通するのは、「辞令を出すときに何をするか」が、人事を担当した人の頭のなかにしか残っていないことです。担当が変わると、書面の形も、伝える順番も、毎回ばらばらになります。

辞令を出す場面と、内示・辞令・社内への知らせの違い

辞令は、会社が社員に、職務や所属、役職が変わることを伝える書面です。どんなときに辞令を出すかは会社ごとに決めてよく、小さな会社では出していないところもあります。よく使われる場面を並べます。

場面辞令に書く中身の例一緒に確かめること
採用入社日と、配属する部署・職種労働条件通知書の内容と食い違っていないか
異動(配置転換)新しい部署と、異動する日引き継ぎの期日、勤務地が変わるか
昇格・役職の任命新しい役職名と、任命する日役職手当など、給与が変わるか
兼務今の役職に加えて担当する部署・役職どちらの上司に報告するか
役職を解く解く役職名と、その日付本人への説明を先に済ませたか

辞令と混ざりやすいのが、内示と社内への知らせです。3つは、伝える相手と時期が違います。

名前誰に伝えるか時期の目安形
内示本人(と、本人の今の上司)辞令を渡す前。本人が準備できるだけの余裕をもって口頭や面談が多い。社外には言わないよう伝える
辞令本人発令日か、その少し前書面で渡す。控えを会社に残す
社内への知らせ社員全員や関係する部署辞令を渡したあと掲示、メール、社内報など

転居を伴う転勤や、役職を解く辞令のように、本人の生活や給与に大きく関わるものは注意が要ります。会社が命じてよい範囲は、就業規則や雇用契約の内容によって変わります。判断に迷うときは、出す前に社会保険労務士などの専門家に確かめてください。この記事では、書面の書き方と、出すときの段取りに絞ってご紹介します。

辞令に入れる7項目

辞令に入れるのは、次の7項目です。毎回この順で書けば、担当が変わっても抜けません。

項目書くこと抜けるとどうなるか
① 表題「辞令」何の書面か、ほかの書類に紛れる
② 受け取る人氏名に「殿」または「様」。社員番号があれば添える同じ名字の社員がいると取り違える
③ 今の所属・役職辞令を受ける前の部署と役職何から何に変わったのかが、あとから分からない
④ 発令の中身「〇〇部勤務を命ずる」「〇〇課長に任ずる」など本人が何をすればよいか分からない
⑤ 発令日「〇年〇月〇日付をもって」と、効力が始まる日給与や手当、権限の切り替え日がずれる
⑥ 交付日辞令を書いて渡した日発令日と混ざり、いつ伝えたかが残らない
⑦ 発令者会社名と、代表者の役職・氏名誰の判断で出た書面か分からない

このなかで、いちばん混ざりやすいのが⑤の発令日と⑥の交付日です。発令日は「新しい役目が始まる日」、交付日は「辞令を渡した日」です。4月1日付の異動を3月25日に伝えるなら、発令日が4月1日、交付日が3月25日です。同じ日なら、片方だけでもかまいません。

④の言い回しは「命ずる」「任ずる」「委嘱する」などの決まった言い方が多く使われます。ただし、決まりがあるわけではありません。「〇〇部での勤務をお願いします」のように、ふだんの言葉で書く会社もあります。大事なのは、毎回同じ言い方にそろえることです。

そのまま使える例文4種(採用・異動・昇格・兼務)

場面に合わせて選んでください。④発令の中身と⑤発令日の2つは、どの例文でも必ず残してください。〇〇のところを、自社と本人に合わせて書き換えて使います。日付は和暦でも西暦でもかまいません。社内の書類とそろえてください。

例文1|採用

辞令

〇〇 〇〇 殿

〇年〇月〇日付をもって、当社社員として採用し、
〇〇部〇〇課勤務を命ずる。

〇年〇月〇日
株式会社□□
代表取締役 △△ △△

例文2|異動(配置転換)

辞令

〇〇部〇〇課
〇〇 〇〇 殿

〇年〇月〇日付をもって、
〇〇部〇〇課勤務を命ずる。

〇年〇月〇日
株式会社□□
代表取締役 △△ △△

例文3|昇格・役職の任命

辞令

〇〇部〇〇課
〇〇 〇〇 殿

〇年〇月〇日付をもって、
〇〇部〇〇課 課長に任ずる。

〇年〇月〇日
株式会社□□
代表取締役 △△ △△

例文4|兼務

辞令

〇〇部 部長
〇〇 〇〇 殿

〇年〇月〇日付をもって、
現職のまま、〇〇部〇〇課 課長の兼務を命ずる。

〇年〇月〇日
株式会社□□
代表取締役 △△ △△

ふだんの言葉で書くなら、例文2は「〇年〇月〇日から、〇〇部〇〇課で勤務していただきます」のようになります。どちらの書き方にするかを最初に決め、社内の辞令をすべてそろえてください。採用の辞令を出すときは、入社日や配属が労働条件通知書と食い違っていないかも確かめておきます。

辞令を渡してから、社内に知らせて記録を直すまでの順番

辞令は、渡して終わりではありません。渡したあとに社内の記録を直すところまでが、辞令の仕事です。次の順番で進めると、抜けがなくなります。

順番やること気をつけること
1. 内示本人に口頭で伝え、異動の理由と日付を説明する社内に知らせるまで、ほかの人に言わないよう伝える
2. 辞令の交付辞令を本人に渡す。控えを会社に残す控えには、渡した日と渡した人を書いておく
3. 社内への知らせ関係する部署や社員全員に、異動を知らせる本人より先に広まらないよう、交付のあとに出す
4. 引き継ぎ前の仕事の引き継ぎ書を作り、期日を決める発令日より前に終わる期日にする
5. 記録を直す名簿、連絡網、組織図、システムの権限、名刺を直す前の部署の情報が見え続けないよう、権限は発令日に切り替える

社内への知らせは、掲示やメールのほか、社内報の「人の動き」の欄で伝える会社もあります。知らせる文面には、辞令と同じ「誰が、どこへ、いつから」だけを書き、異動の理由は書きません。前の仕事の引き継ぎは引き継ぎ書の作り方で、記録を直すときに使う名簿の型は従業員名簿の作り方でご紹介しています。

AIに下書きさせるプロンプト3種と、任せないこと

辞令は、AI(Claude)に下書きを任せやすい書面です。決まった項目に、決まった言い回しで値を入れていく書面なので、メモを渡すだけで7項目のそろった1枚になります。

プロンプト1|辞令を作る

あなたは中小企業で人事と総務を担当している者です。
以下のメモから、辞令を作ってください。

条件:
・「表題・受け取る人・今の所属と役職・発令の中身・発令日・交付日・発令者」の7項目を入れる
・発令の中身は「〇〇を命ずる」「〇〇に任ずる」の言い方にそろえる
・発令日は「〇年〇月〇日付をもって」と書く
・メモに無いことは作らず、【要確認】と書いて空けておく
・異動の理由は書かない

<メモ>
(ここに貼る。例:〇〇さん、今は営業部、4月1日から総務部、伝えるのは3月25日、発令者は代表)

プロンプト2|社内への知らせを作る

以下は、今回出した辞令の一覧です。
社員に向けた、人事異動のお知らせ文を作ってください。

条件:
・「誰が、どの部署・役職へ、いつから」を表にする
・異動の理由や、本人の評価にふれることは書かない
・最後に「新しい担当への連絡は〇月〇日から」の1行を入れる
・掲示用とメール用の2つを作る

<辞令の一覧>
(氏名・今の所属・新しい所属・発令日を貼る。社員番号や住所は貼らない)

プロンプト3|辞令のあとに直す一覧を作る

以下の辞令が出ました。
発令日までに、会社のなかで直すものの一覧を作ってください。

条件:
・名簿、連絡網、組織図、システムの権限、名刺、取引先への連絡、の順に並べる
・それぞれに「誰が直すか」と「いつまでに」の欄を空けておく
・この会社に当てはまるか分からないものは「要確認」とする

<辞令の中身>
(今の所属・新しい所属・発令日だけを貼る)
AIに任せてよいこと人が決めること
7項目の順に並べた辞令の下書きを作る誰をどこへ異動させるか、役職に任じるか
言い回しを「命ずる」「任ずる」にそろえる発令日と、内示・交付の日
辞令の一覧から、社内へのお知らせ文を作る社内に知らせてよい範囲と、知らせる時期
辞令のあとに直す一覧を作る転勤や役職を解く辞令が、会社の決まりで出せるか

辞令の下書きには、社員の名前や所属が入ります。AIに貼る前に、社内でどこまで入れてよいと決めているかを確かめてください。プロンプト2で「社員番号や住所は貼らない」としているのはそのためです。線引きはAIに入れていい情報・いけない情報で整理しています。社内向けのお知らせ文をAIに任せる流れはお知らせ文・案内文をAIに任せる方法にまとめました。メモから書面を作らせる指示の書き方はAIへの指示文の書き方でご紹介しています。

次の辞令を型で出し、控えを1か所に残す

この記事の例文をすべて使う必要はありません。まず、次に出す辞令を1枚、7項目の型で作ってみてください。本人と上司が発令日を同じ日で覚えていれば、型が効いています。

辞令を渡したら、次の3つを1つのフォルダにまとめて残してください。辞令の控え、社内に出したお知らせ、直した記録の一覧です。次の担当者は、そのフォルダを開いて名前と日付を変えるだけで同じ手順をくり返せます。辞令のように「たまにしか出さず、出し方が担当者の頭のなかにだけある仕事」こそ、会社の決まった手順として残しておく価値があります。

担当が変わるときの引き継ぎをAIに任せる流れは引き継ぎ資料でご紹介しています。社員の名簿や台帳の管理は台帳・一覧の整理をご覧ください。

人事の手続きは、「前回どうしたか」を知っている人が一人しかいないことがよくあります。辞令の型と、渡したあとの手順をAIに渡せる形にしておくと、誰が担当でも同じように進められます。私たちが会社ごとに何をつくるかはAI導入支援とは|何をつくるのかにまとめています。

毎回ひな形を探している辞令を
30分で一緒に、次の担当に渡せる形にします。

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いまの仕事のことを、そのまま話してください。
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