賃金台帳の作り方|給与明細との違いと並べる項目、雇用区分別の型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

給与ソフトの中に数字はあるのに、賃金台帳として1枚では出せない。税理士や社労士に聞かれてから慌てて集め直す。人数が増えてきた会社に向けて書いています。従業員が数名から数十名へ増えた段階で、どこの会社でも決まって一度は必ず出てくる詰まりです。

結論からお伝えします。賃金台帳が出てこないのは、給与明細の控えで代用していて、1人ぶんが1行で年間に並んだ表として持っていないからです。並べる項目は厚生労働省の様式が土台になり、そこへ自社の実務で要る欄を足せば足ります。散らばった数字を1人1行の形に組み替えるところは、AI(Claude)に任せられます。この記事では、並べる項目と規模別の型3種、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。

賃金台帳が出てこない3つのパターン

賃金台帳が用意できない会社で、担当者が手を抜いている例はほとんど見かけません。持ち方のほうに、決まった型のつまずきが3つあります。

つまずき会社で起きること直し方
給与明細の控えで代用している1か月ぶんずつ束になっていて、1人の1年を追うのに12枚めくる。年の途中で単価が変わった時期を誰も即答できない明細とは別に、1人1行で月が横に並ぶ表を持つ。明細はその表から探す控えとして残す
給与ソフトの中だけにある開ける人が1人に限られる。ソフトを乗り換えるとき、何が入っていたか誰も説明できない表計算に書き出した控えを月次で残す。ソフトが正、控えは読む用と決めると二重管理になりにくい
パートと役員が別の場所にある人数を数えるたびに合計が合わない。集計のたびに担当者が頭の中で足している雇用区分は行を分けず、1列で持つ。並べ替えれば区分ごとの一覧はいつでも作れる

3つに共通しているのは、賃金台帳が「毎月の計算結果の置き場」になっていて、1人の1年を横に読める形になっていない点です。毎月の計算は給与ソフトが持っています。台帳のほうは、誰にいつ何をいくら払ったかが1行で追える形にすると効きます。

そもそも誰が何日・何時間働いたかが記録として残っていない段階なら、台帳より先に勤務の記録からです。組み方はシフト表の作り方にまとめています。

賃金台帳に並べる項目(土台と足す欄)

賃金台帳は、労働基準法で事業場ごとに備えることが求められている帳簿です。並べる項目は自由に決めるものではなく、厚生労働省が示している様式に並んでいる項目が土台になります。下の表は、その様式に出てくる項目を実務の言葉で並べ直したものです。まず土台を埋め、そのうえで自社に要る欄を足す順番で作ると迷いません。

土台の項目埋めるときの注意
氏名給与明細や社会保険の書類と同じ表記でそろえる。旧姓で運用している人がいると、集計のときに二重に数えやすい
性別様式に欄があるため空欄にしない。人事評価や配置の判断には使わない欄だと社内で決めておく
賃金計算期間「16日から翌15日」のような締めのずれを、月の表記だけで書くと後から読めなくなる。開始日と終了日を書く
労働日数勤務の記録から転記する。台帳の側で数え直さない。数える場所が2か所あると必ずずれる
労働時間数所定内と、時間外・休日・深夜を分けて持つ。合計だけを持つと、後から内訳を出せない
賃金の種類ごとの額基本給と手当を1つの数字にまとめない。手当は名称ごとに列を分ける
控除の項目と額税・社会保険・その他を分けて持つ。「控除計」だけだと、本人から問い合わせが来たときに答えられない

土台のうえに足す欄は、多くの会社で次の3つが役に立ちます。足す欄は少ないほど続きます。

足す欄入れておくと効くこと
雇用区分正社員・パート・アルバイト・役員を1列で持つ。区分ごとの集計が並べ替えだけで出る
所属・店舗拠点が分かれている会社では、店舗別の人件費が集計なしで読める
支給日計算期間と支給日は別物。年をまたぐ支給がある会社では、この2列がないと年ごとの集計が合わなくなる

最新の様式と、自社がどの項目まで書く必要があるかは、厚生労働省の案内と社会保険労務士に確認してください。雇用の形や事業場の数で、備え方の考え方が変わる部分があります。この記事で扱うのは、台帳を1枚の表として作って続ける段取りまでです。

人の情報そのものを1行1人で持つ台帳は、賃金台帳とは別に用意します。並べ方は従業員名簿の作り方にまとめました。名簿と台帳は、氏名の表記と雇用区分の列をそろえておくと突き合わせが一瞬で終わります。

そのまま使える型3種(雇用区分別)

型は3つで足ります。自社の雇用の形がいちばん近いものを選び、列を足さずにそのまま始めてください。列を足したくなったときが、運用が回り始めた合図です。

型1:全員が月給の会社(数名〜10名)

入れるもの
基本の5列氏名/雇用区分/計算期間(開始・終了)/支給日
勤務労働日数/所定内時間/時間外時間/休日時間/深夜時間
支給基本給/手当(名称ごとに列)/支給合計
控除控除の項目ごとに列/控除合計/差引支給額

型2:月給とパートが混ざる会社(10〜50名)

入れるもの
型1の全列そのまま使う
足す単価(時給・日給・月額)/単価の適用開始日/所属・店舗
分けないパート用の表を別に作らない。雇用区分の列で分ける

型3:拠点が複数ある会社(50名〜)

入れるもの
型2の全列そのまま使う
足す事業場コード/集計用の年月(数値)/備考(単価変更・休職などの理由を1行)
持ち方1シートに全員を縦に積む。事業場ごとにシートを分けると、全体の集計が毎回手作業になる

3つの型に共通する原則が1つあります。行は人と月の組み合わせで増やし、列は増やさないことです。月ごとに列を右へ伸ばしていく作り方は、1年で読めない幅になり、翌年に作り直しが要ります。

月次で回すまでの4ステップ

作って終わりにしないために、給与計算の流れに台帳を1本組み込みます。順番を変えると、毎月の作業が増えます。

ステップやること所要の目安
1. 列を決める上の型から1つ選び、列名だけを先に確定する。数字はまだ入れない30分
2. 先月ぶんを埋める給与ソフトから先月の1か月ぶんを書き出し、決めた列へ入れる。転記ではなく書き出しを使う1時間
3. 突き合わせる支給合計と控除合計を、給与ソフトの帳票と1円単位で照らす。合わない行だけを見る30分
4. 締めの手順に足す給与を確定した日に台帳へ追記する、と手順書に1行足す。担当者と期日を書く15分

ステップ3で合わない行が出るのは失敗ではありません。手当の名称がソフトと表で違っていた、途中入社の月だけ計算期間がずれていた、といった食い違いが最初の月にまとめて出ます。1度そろえてしまえば、翌月からは書き出して貼るだけになります。

毎月の作業として定着させるところまでが本題です。誰がいつ何をするかを1枚に落とす進め方は作業手順書の書き方が参考になります。

AIに下書きさせるプロンプト3種

賃金台帳づくりでAIが効くのは、数字を計算させるところではありません。列を決める、書き出したデータを決めた形に組み替える、抜けや矛盾を拾う。この3つです。金額の計算は給与ソフトに任せてください。

プロンプト1:自社に合う列を決める

当社の賃金台帳の列を設計してください。

【当社の状況】
・従業員 ○名(正社員○名・パート○名・役員○名)
・給与の締め ○日締め ○日払い
・拠点 ○か所
・手当 通勤/役職/資格(該当するものを書く)

【条件】
・厚生労働省の様式に並んでいる項目を土台にする
・そのうえで当社の実務に要る欄を3つまで足し、足した理由を1行ずつ書く
・列名だけを表で出す。数字や氏名の例は入れない
・法令に合っているかの判定はしない。確認が要る点は「社労士に確認」と印を付ける

プロンプト2:書き出したデータを台帳の形に組み替える

下の表を、1人1行・月ごとに1行の形へ組み替えてください。

【条件】
・列の順番は次のとおりにそろえる:(プロンプト1で決めた列名を貼る)
・金額の再計算はしない。元の数字をそのまま移す
・元の表に無い列は空欄にし、埋めない
・移せなかった項目があれば、表の下に一覧で出す

【表】
(ここに貼る)

プロンプト3:抜けと矛盾を拾う

下の台帳を点検し、抜けと矛盾だけを一覧にしてください。

【見てほしいところ】
・空欄になっている欄
・計算期間と支給日の前後が逆になっている行
・同じ人が同じ月に2行ある
・雇用区分が途中で変わっているのに単価の適用開始日が無い行

【条件】
・行番号と列名で指す。人物の評価や、直し方の提案は書かない
・金額が正しいかどうかの判定はしない

【表】
(ここに貼る)

プロンプト3で「人物の評価は書かない」と縛っているのには理由があります。空欄の一覧は、書き方ひとつで「手続きをさぼった人の一覧」に見えてしまいます。行番号と列名で指す形にしておくと、話が人ではなく欄に向きます。

思ったものが出てこないときは、条件を足すより先に渡した情報が足りているかを見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。表そのものを読ませて突き合わせや集計をさせる手順はExcelやCSVをAIに読ませて分析する方法が参考になります。

AIに任せてはいけないこと

任せてよいこと人が決めること
列の設計と、列名の言い回しをそろえる自社がどの項目まで備える必要があるか
書き出したデータを決めた形に組み替える支給額・控除額が正しいかどうか
空欄・日付の矛盾・二重登録を拾い出す時間外や深夜の扱いをどう決めるか
社内向けの案内文の下書きを3案出す台帳を誰に開かせるか

いちばん気をつけたいのは、氏名と金額が入ったままの台帳をそのまま貼ることです。賃金台帳は、社内の書類のなかでも個人情報と金額が同居している密度の高いものです。表の形を整えたいだけなら、氏名を「社員A」、金額を「200,000」のような仮の数字に置き換えれば用は足ります。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。置き換えの手間は1回で、置き場の心配は毎回なくなります。

もう1つ、法令に合っているかどうかの判定をAIにさせないでください。時間外や深夜の扱い、備えておく期間、事業場ごとの持ち方。この種の話は社会保険労務士や労働基準監督署に確認する範囲になります。台帳を作る作業と、合っているかの確認は、別の人が担当する仕事だと考えてください。

まず先月の1か月分だけ作ってください

過去1年ぶんをそろえてから始めると決めると、着手そのものが止まります。先月の1か月ぶんだけを、決めた列で書き出してください。10名なら30分ほどで形になります。

1か月ぶんでも、たいてい何か見つかります。手当の名称が明細と帳票で違っていた。途中入社の人だけ計算期間がずれていた。パートの単価がいつから変わったのか、誰の記憶にも残っていなかった。食い違いは、頭で数えているときには見えず、表にした瞬間に見えます。

1か月ぶんができたら、同じ列のまま前月へさかのぼって足してください。列が決まっていると、2か月めからは書き出して貼るだけで済みます。最初から完全な様式を作ろうとすると、完成しないまま終わります。

拠点が分かれていると、人と金額の情報は現場ごとに持たれたままになりがちです。東北エリアで複数店舗を展開する小売業様の事例があります。本部で決めた形を各店舗へ配って終わりにせず、店舗の担当者が自分で直せる形にしたことで、数字が本部へ戻ってくるようになりました。進め方は小売業様の事例(CASE 01)をご覧ください。

台帳づくり以外にどの仕事から手をつけるか迷う場合は、AIに任せられる仕事の一覧を室ごとに並べています。経理まわりだけでも、下書きまでを任せられるものがいくつも見つかります。

こうして担当者の頭のなかや机の上にあった情報を、会社の側に残る形にしていく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

「その数字、どこから出したんだっけ」で
止まっている場所を30分で一緒に数えます。

まずは30分、話すだけで大丈夫です

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いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。
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