業務分掌の決め方|属人化を止める6項目と規模別の型3種、AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

その仕事は誰の担当ですかと聞かれて、すぐには答えられない。あの人が休むと止まる業務が3つある。決めたはずなのに、結局はいつもの人のところへ話が戻る。従業員が10〜50名ほどで、創業からの流れのまま担当が決まってきた会社に向けて書いています。

結論からお伝えします。業務分掌が効かないのは、部署の名前だけを分けて、実際の仕事の名前と「どこまで決めていいか」を書いていないからです。「総務に関すること」と書いた一覧は、読んでも誰の手も動きません。項目は6個で足ります。頭の中にある担当の実態を6つの欄に当てはめるところは、AI(Claude)に任せられます。この記事では、6項目の一覧と規模別の型3種、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。

業務分掌でつまずく3つのパターン

分掌表を作ったのに現場が変わらない会社で、手を抜いている人はほとんどいません。決め方のほうに、決まった型のつまずきが3つあります。

つまずき会社で起きること直し方
部署名と業務の説明が同じ言葉になっている「総務課:総務に関すること」「営業部:営業に関すること」と並ぶ。読んでも自分の仕事だと分からないので、誰も見に来なくなる部署ではなく仕事の名前を書く。「請求書を発行する」「入社手続きの書類をそろえる」のように動詞で並べる
主担当しか決めていない担当者が休んだ日に、その業務だけ止まる。周りは手伝いたくても、どこまでやっていいのか分からない1業務につき代われる人を1人書く。名前が入らない業務が、止まる場所そのもの
決めていい範囲が書いていない金額も相手も関係なく、判断がいる場面は全部社長のところへ上がる。分掌表はあるのに、社長の机だけが混む「いくらまでは担当が決める」「ここから先は上に相談する」の線を業務ごとに書く

3つに共通しているのは、分掌表が「組織図の言い換え」で止まっていて、日々の仕事の割り振り表になっていない点です。組織図は会社の形を示すもので、明日の仕事は動かしません。分掌表は、明日誰がその仕事に手をつけるかが読み取れる形にすると効きます。

そもそも手持ちの仕事が並んでいない段階なら、分掌より先に洗い出しからです。やり方は業務棚卸しのやり方にまとめています。

業務分掌表に入れる項目は6個でいい

市販の様式には20個ほどの欄が並んでいることがありますが、全部を埋めようとすると作る途中で力尽きます。6個で足ります。

項目書き方入れる理由
① 業務名動詞で書く(例:月末の請求書を発行する)名詞だけだと範囲が人によってずれる
② 完了の目安何が出来ていれば終わりか(例:全件が送付済みで控えが保存されている)終わりが決まっていない業務は、引き渡せない
③ 主担当1人だけ書く。役職名ではなく人「課で持つ」と書くと、誰も自分の番だと思わない
④ 代われる人1人書く。書けないなら空欄のままにして印を付ける空欄が、その会社の止まる場所の一覧になる
⑤ 発生のタイミング毎日/毎週◯曜/月末/依頼が来たとき忙しさの偏りが、ここで初めて見える
⑥ 決めていい範囲担当が自分で決めてよい線を1行(例:3万円まで、常連のお客様まで)分掌の中身はここ。ここを書かないと全部が上に上がる

いちばん効くのは⑥です。①〜⑤は誰が何をするかの一覧で、これは組織図でもある程度は見えます。⑥だけは、書かないと社内の誰にも見えません。判断のたびに人を探す時間が消えるので、決めた直後から効き目が出ます。

④が空欄のまま残る業務は、そこに手順が残っていないことがほとんどです。手順の残し方は引き継ぎ書の作り方業務フロー図の作り方にまとめています。

そのまま使える型3種(規模別)

会社の規模によって、分けるべき単位が変わります。合わない型を使うと、書く手間だけが増えます。

向いている会社分ける単位気をつけること
型A 人で分ける10名前後・部署がはっきりしていない人ごとに担当業務を並べる名前で書くので、退職・異動のたびに直す前提で作る
型B 部門で分ける20〜50名・部署がある部門ごとに業務を並べ、その中で主担当を書く部門の名前だけで終わらせない。中の業務名まで必ず書く
型C 本部と現場で分ける店舗や拠点が複数ある同じ業務を「本部が決める」「現場がやる」に割る同じ業務名が両方に出てよい。決める側とやる側を分けて書く

型Cは、店舗ごとにやり方が育ってしまった会社で効きます。同じ「お客様への謝罪文」でも、文面を決めるのが本部で、出すのが店舗、と割れば、店舗ごとの言い回しのばらつきが減ります。どちらか一方に寄せるのではなく、1つの業務を2行に割るのがこの型の使い方です。

決めて回すまでの4ステップ

完成させてから配ろうとすると、たいてい途中で止まります。粗くても回し始めたほうが早く仕上がります。

ステップやること目安
1. 1週間分を書き出す先週の自分の仕事を、思い出せるだけ箇条書きにする。全員分でなくてよい1人15分
2. 6項目に当てはめる箇条書きを表に組み替える。ここはAIに任せられる1人5分
3. 誰の欄にも入らない仕事を拾う全員分を並べると、必ず宙に浮く業務が出る。ここが本当の分掌の議論になる30分
4. 見直す日を決めて閉じる3か月後の日付をその場でカレンダーに入れる。決めないと二度と開かれない3分

ステップ3が、この作業でいちばん価値のあるところです。誰の欄にも入らなかった仕事は、これまで気づいた人がその都度こなしていたものです。多くは総務や社長が拾っています。ここを見つけて誰かに置くだけで、特定の人にだけ寄っていた負荷が下がります。

なお、分掌を就業規則や職務等級・賃金と結びつける段階に入ると、労務の話になります。その線を越えるときは、社会保険労務士や弁護士に確認してください。この記事で扱っているのは、日々の仕事を誰が持つかを一覧にするところまでです。

AIに下書きさせるプロンプト3種

箇条書きを表に組み替える作業と、抜けを探す作業はAIが速いです。3つとも、そのままコピーして使えます。

プロンプト1:箇条書きを6項目の表にする

以下は、ある社員が先週やった仕事の箇条書きです。次の6項目の表に組み替えてください。

①業務名(動詞で書く) ②完了の目安 ③主担当 ④代われる人 ⑤発生のタイミング ⑥決めていい範囲

【条件】
・書いていないことは推測せず、空欄にして「未記入」と入れる
・1行が2つの仕事を含んでいる場合は、行を分ける
・③④は書いてある名前だけを使う。勝手に補わない

【箇条書き】
(ここに貼る)

プロンプト2:宙に浮いている仕事と重複を探す

以下は、部署ごとの業務分掌表です。次の3点だけを挙げてください。

1. 主担当が「未記入」または部署名だけになっている業務
2. 別の部署に同じ内容が二重に書かれている可能性のある組み合わせ
3. 「決めていい範囲」が空欄の業務のうち、判断が必要そうなもの

【条件】
・断定せず「〜の可能性がある」と書く
・誰が悪いかは書かない。業務名だけで指す

【表】
(ここに貼る)

プロンプト3:決めていい範囲の書き方を出させる

以下の業務について、「担当者が自分で決めてよい範囲」の書き方を3案ください。

【業務】
(例:お客様からの返品の受付)

【条件】
・金額・相手・期間など、線を引く軸ごとに分けて出す
・3案とも1行で書く。長い説明は不要
・どれを採るかはこちらで決めるので、おすすめは書かなくてよい

プロンプト2で「誰が悪いかは書かない」と縛っているのには理由があります。抜けの一覧は、書き方ひとつで「仕事をしていない部署の一覧」に見えてしまいます。業務名で指す形にしておくと、話が人ではなく仕事に向きます。

思ったものが出てこないときは、条件を足すより先に渡した情報が足りているかを見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。書き出しが面倒なときは、歩きながら話した内容をそのまま渡す手もあります。やり方は音声入力で日報を書く方法が参考になります。

AIに任せてはいけないこと

任せてよいこと人が決めること
箇条書きを6項目の表に組み替える③主担当を誰にするか
宙に浮いた業務・重複を拾い出す④代われる人を誰にするか
決めていい範囲の書き方の案を出す⑥の線を実際にどこに引くか
部署ごとに言い回しをそろえる分掌を変えたことを、いつ誰に伝えるか

いちばん危ないのは、担当の割り振りをAIに決めさせて、そのまま配ることです。AIが見ているのは表の文字だけです。誰と誰が組むとうまくいくか、来春に定年を迎える人がいるか、その業務を長く持ってきた人がどう受け止めるか。表に出ていない事情のほうが、割り振りの材料としては重いことがあります。案は出させて、決めるのは人にしてください。

もう1つ、できあがった分掌表を、そのまま人事評価に持ち込まないでください。持ち込むと、次の見直しから誰も本当の担当を書かなくなります。書いてある業務が多い人は、抱え込んでいる人であって、評価が高い人とは限りません。

社員の名前や取引先をそのまま貼ってよいかは、社内で先に決めておく話です。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。「担当A」「A社」に置き換えれば、表を組み替える用途には足ります。

まず主要業務20個から始めてください

全業務を漏れなく洗い出してから始めると決めると、着手そのものが止まります。いま思いつく主要業務を20個だけ書き出して、6項目を埋めてください。1人分なら20分ほどで形になります。

20個でも、たいてい何か見つかります。④が空欄の業務が5つあった。⑥を書こうとして、実は誰も線を決めていなかったことに気づいた。同じ業務を2人が別のやり方で持っていた。抜けは、話しているときには見えず、表にした瞬間に見えます。

1人分ができたら、同じ形で隣の人に広げてください。1枚めができると、次からは同じ欄に当てはめるだけで済みます。最初から全社分の完全な様式を作ろうとすると、完成しないまま終わります。

担当を決めても、人が変わるたびにやり方ごと消えてしまう。学生スポーツ団体様の事例があります。年度ごとに担当役員が交代し、HPの更新方法が引き継がれずにいました。担当を決めることと、やり方を会社側に残すことは別の作業です。詳しくは学生スポーツ団体様の事例(CASE 05)をご覧ください。

業務ごとに具体的な使いどころを見たい場合は、業務別 AI 活用シーンに営業・事務・経営の3場面で並べています。

こうして人に張りついていた仕事を、会社の側に残る形にしていく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

「あの人が休むと止まる」業務が、
いくつあるかを30分で一緒に数えます。

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ご契約前提でなくても大丈夫です。話を聞くだけのご利用も歓迎します。

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