労働条件通知書の作り方|雇用契約書との違いと入れる項目、雇用区分別の型3種とAI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

採用が決まり、入社日も伝えた。けれど労働条件は求人票と口頭で伝えただけで、手元にあるのは署名をもらった雇用契約書が1枚きり。人を雇い始めた会社の経営者に向けて書いています。人が1人、2人と増える段階で、どの会社でも一度は出てくる詰まりです。

結論からお伝えします。労働条件通知書で困るのは、書類が無いからではなく、雇用契約書と求人票と口頭の説明に条件が散らばっていて、「何を示したか」を1枚で見せられないからです。入れる項目は厚生労働省が公開しているモデル労働条件通知書が土台になり、そこへ雇用区分ごとの欄を足せば足ります。散らばった条件を1枚の形に並べ直す下書きは、AI(Claude)に任せられます。この記事では、雇用契約書との違い、入れる項目、雇用区分別の型3種、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。

「渡したつもり」になる3つのパターン

労働条件通知書が手元にない会社で、経営者が雇い入れを軽く見ている例はほとんど見かけません。書類の持ち方のほうに、決まった型のつまずきが3つあります。

つまずき会社で起きること直し方
雇用契約書に署名をもらって終わっている契約書に書いたのは給与と勤務時間だけ。休日や退職の決まりを聞かれて、就業規則を探しに行く示す項目の一覧を先に持ち、契約書に無い項目は通知書の側で埋める。「兼」の1枚にまとめてもよい
求人票と口頭の説明で済ませている入社して半年後に「面接では土曜は休みと聞いた」と言われ、何を伝えたかを誰も確かめられない求人票・面接で話した条件・実際の条件を1枚に並べ、食い違いを入社前に消す
一度渡したきり、出し直していないパートから正社員へ、週3日から週5日へと働き方が変わったのに、手元の書面は入社時のまま条件が変わる日を出し直す日と決める。変わった項目が分かる形で控えを残す

3つに共通しているのは、条件そのものは決まっているのに、それが契約書・求人票・口頭に分かれていて、1人ぶんを1枚で見せられない点です。求人の段階で書いた条件から見直したい場合は、求人原稿をAIに任せる方法で書き方の注意をまとめています。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

名前が似ているので同じものとして扱われがちですが、役目が違います。通知書は会社が条件を示すための書類で、契約書は双方が合意したことを残すための書類です。

くらべる点労働条件通知書雇用契約書
何のための書類か会社が働く人に、労働条件を示すため会社と働く人が、条件に合意したことを残すため
署名会社から渡す書類で、本人の署名がなくても成り立つ双方が署名や記名押印をするのが一般的
法令とのかかわり労働基準法が求める労働条件の明示を、書面で果たす役目を持つ作ること自体は法律で義務づけられていない。契約は口頭でも成り立つ
実務での持ち方「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚にまとめる会社も多い同左。まとめる場合は、示す項目が欠けていないかを通知書の側の目で確認する

契約書だけを作っている会社で抜けやすいのは、休日・休暇・退職の決まりです。契約書は「合意した大事なこと」を書く意識で作られるため、給与と時間に目が向き、ほかの項目が就業規則任せになります。1枚にまとめるか分けて持つかは、どちらでもかまいません。大事なのは、示す項目の一覧に照らして欠けがないことです。

労働条件通知書に入れる項目

労働基準法では、人を雇うときに労働条件をはっきり示すことが使用者に求められていて、一部の項目は書面で渡す必要があります。本人が希望すれば、メールなどで渡す方法もあります。2024年4月からは、示す項目が追加されました。項目の並びは、厚生労働省のサイトで最新のモデル労働条件通知書を確認し、それに沿うのが確実です。自社の雇用区分でどこまで必要か、どう書けばよいかは、社会保険労務士か労働基準監督署に確認してください。ここではモデル様式に並んでいる項目を、埋めるときの注意とあわせて整理します。

項目埋めるときの注意
契約期間期間の定めがあるかないか。ある場合は、更新の有無と、更新するかどうかを何で判断するかも書く
就業の場所雇い入れた直後の場所に加え、将来変わりうる範囲も書く。「本店」だけにせず、支店や現場へ行く可能性があるならその範囲を
従事する業務場所と同じく、はじめの業務と変わりうる範囲の両方を書く。求人票の職種名と言い回しをそろえる
始業・終業の時刻、休憩、所定時間外労働の有無シフト制の場合も「シフトによる」の一言にせず、基本の時間帯と決め方を書いておく
休日・休暇「週休2日」だけでなく、何曜日か、祝日はどうかまで書く。面接で話した内容と食い違いやすい欄
賃金基本給・手当・割増賃金の率・締切日と支払日・支払方法。賃金台帳の項目名とそろえると、あとで突き合わせが楽になる
退職に関する事項定年の有無、自分から辞めるときの手続き、解雇の事由。就業規則を参照させる場合は、該当する条を書く

パートタイムや有期契約で雇う場合は、足す欄が3つあります。

足す欄入れておくと効くこと
昇給・退職手当・賞与の有無パートタイム・有期雇用労働法で、文書などで示すことが求められている項目です。「あり・なし」だけでも、書いてあれば入社後の問い合わせが減る
相談の窓口待遇について相談するときの担当者や部署。小さな会社なら経営者本人の名前で足りる
更新の上限と、無期転換の案内有期契約で更新の上限を設けるならその内容を書く。無期雇用への転換を申し込める更新にあたる場合の扱いは、社会保険労務士に確認してから書く

氏名や雇い入れた日は、先に作った名簿と同じ表記でそろえるのが早道です。名簿の側をまだ整えていない場合は、従業員名簿の作り方から手をつけると、あとの突き合わせが楽になります。

そのまま使える型3種(雇用区分別)

欄の並びは、雇用区分によって変わります。自社で雇っている区分の型を選び、区分の数だけ1枚ずつ用意してください。1枚の様式で全区分をまかなおうとすると、「該当なし」の欄だらけになって読まれません。

向いている雇い方欄の並び
型A|正社員(期間の定めなし)フルタイムで、期間を区切らずに雇う契約期間(定めなし)/就業の場所と変更の範囲/業務と変更の範囲/始業・終業・休憩/時間外労働の有無/休日・休暇/賃金/退職に関する事項/社会保険の加入
型B|パート・アルバイト(シフト制)曜日や時間帯が人によって違う。週の日数が少ない型Aの欄+シフトの基本の時間帯と決め方/昇給・退職手当・賞与の有無/相談の窓口/社会保険の加入状況
型C|有期契約(契約社員・嘱託)半年や1年で期間を区切って雇う。定年後の再雇用を含む型Aの欄+契約期間の始まりと終わり/更新の有無と判断の基準/更新の上限/昇給・退職手当・賞与の有無/相談の窓口

型Bの「シフトの基本の時間帯と決め方」は、いつ働くかを毎月その場で決めているように見せないための欄です。厚生労働省は、シフト制で働く人の雇用管理について留意事項を公開しています。どこまで書くかは、その内容を確認したうえで決めてください。シフトそのものの組み方はシフト表の作り方にまとめています。

型Cの「判断の基準」は、更新するかしないかを、その時の気分で決めていないことを示す欄です。「勤務成績」「会社の経営状況」のように、何を見て決めるかを書きます。書いた基準で実際に判断できるかは、書く前に経営者自身が確かめてください。

作り直して回すまでの4ステップ

ステップやることつまずきやすいところ
1|いま雇っている人の区分を一覧にする正社員・パート・有期契約のどれにあたるかを、名簿の横に1列で持つ「パートだけど期間の定めがある」人を1つの区分に押し込む。区分は2つの軸(時間と期間)で見る
2|区分ごとに型を1枚ずつ作るモデル様式の項目を土台に、型A〜Cのうち使う型だけを作る自社の就業規則と食い違う条件を書いてしまう。規則の該当箇所を横に置いて作る
3|求人票と面接の説明を照らし合わせる次に採用するとき、求人票・面接で話す内容・通知書の3つを並べて食い違いを消す求人票だけ先に更新して、通知書の型が古いまま残る
4|出し直す日を決める契約の更新日、働き方が変わる日を「出し直す日」として年間の予定に入れる条件が変わったのに口頭で伝えて終わる。変えた項目と日付を控えに残す

ステップ4で多いのが、パートの方の働く時間を増やすときです。社会保険の加入の範囲にかかわる変更もあるので、106万円の壁の撤廃と、自社が対象かの見分け方もあわせて確認してください。賃金の欄は賃金台帳の作り方、時間の欄は出勤簿の作り方と項目名をそろえると、書面と帳簿が同じ言葉でつながります。

AIに下書きさせるプロンプト3種

ここからは、そのままコピーして使えるプロンプトです。いずれも氏名・住所・実際の給与額は入れずに使ってください。形を整えるだけなら、仮の名前と仮の金額で用が足ります。

プロンプト1|雇用区分に合う型を下書きさせる

あなたは中小企業の総務担当です。労働条件通知書の型を下書きしてください。

【会社の状況】
・従業員8名(正社員5名・パート3名)
・事務所1か所。パートは曜日と時間帯がばらばら
・就業規則あり(休日・退職の決まりは規則に書いてある)

【出したいもの】
・パート(シフト制)用の型。項目名と、各項目に書く内容の例を1行ずつ
・就業規則を参照させる項目には「就業規則 第◯条」と空欄で入れる

【条件】
・項目は厚生労働省のモデル労働条件通知書の並びに沿わせる
・法令に合っているかの判定は書かない。確認が要る項目には「要確認」とだけ添える
・金額や時刻は「◯円」「◯:◯◯」のように空欄で置く

プロンプト2|求人票と通知書の食い違いを拾わせる

下の「求人票」と「労働条件通知書の下書き」を読み比べて、食い違っている箇所を一覧にしてください。

【見てほしいところ】
・休日、休暇の書き方
・勤務時間と休憩
・給与の内訳と、手当の名前
・勤務地と、業務の書き方
・一方にだけ書いてあって、もう一方に無い項目

【出し方】
・「項目/求人票の記載/通知書の記載」の3列の表
・どちらが正しいかは判断しない

【求人票】
(ここに貼る)

【労働条件通知書の下書き】
(ここに貼る)

プロンプト3|条件が変わったときの差分と説明文を下書きさせる

働き方の変更にあわせて労働条件通知書を出し直します。変更前と変更後を読み比べ、次の2つを作ってください。

【1】変わった項目だけの表
「項目/変更前/変更後」の3列

【2】本人に渡すときに添える説明文の下書き
・200字以内
・何が変わるか、いつから変わるかだけを書く
・変更の理由や、本人への評価は書かない

【条件】
・変更が法令に合っているかの判定はしない

【変更前】
(ここに貼る)

【変更後】
(ここに貼る)

プロンプト3で「本人への評価は書かない」と縛っているのには理由があります。条件の変更は、本人にとって暮らしにかかわる話です。AIに説明文を任せると、励ましや理由づけを気を利かせて足してきます。何が・いつから変わるかだけに絞ると、書面が約束の記録として読まれます。

思ったものが出てこないときは、条件を足すより先に、渡した情報が足りているかを見てください。勘どころはAIへの指示(プロンプト)の書き方にまとめています。

AIに任せてはいけないこと

任せてよいこと人が決めること
モデル様式の項目に沿って、自社用の型を下書きするその条件で雇うかどうか、いくら払うか
求人票・下書き・就業規則の食い違いを拾い出す食い違ったとき、どちらを正として直すか
変更前と変更後の差分を表にする更新するかしないか、更新の上限をどうするか
本人に添える説明文の下書きを出すその書き方が法令に合っているか(社会保険労務士や労働基準監督署に確認する)

いちばん気をつけたいのは、氏名や給与額が入ったままの通知書をそのまま貼ることです。労働条件通知書は、1人の働き方と収入が1枚にまとまった書類です。型を整えたいだけなら、氏名を「従業員A」、金額を「◯円」に置き換えれば用は足ります。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。

もう1つ、書いた内容が法令に合っているかの判定をAIにさせないでください。明示する項目の範囲、有期契約の更新や無期転換の扱い、就業規則との関係。この種の話は、社会保険労務士や労働基準監督署に確認する範囲です。通知書を作る作業と、合っているかの確認は、別の人が担当する仕事だと考えてください。

まず、いま働いている1人ぶんを見比べてください

全員ぶんの書面を作り直してから始めると決めると、着手そのものが止まります。いま働いている人を1人選び、手元にある契約書・求人票・実際の働き方の3つを並べてください。1人ぶんなら15分ほどで済みます。

1人ぶんでも、たいてい何か見つかります。契約書に休日の記載がなかった。求人票は「賞与あり」なのに、実際には払っていない年があった。週3日で入った人が、いまは週5日働いている。食い違いは、頭で覚えているときには見えず、並べた瞬間に見えます。

1人ぶんで型の欄が固まったら、同じ区分の人へ広げてください。型が決まっていると、2人目からは空欄を埋めるだけで済みます。

少人数の職場では、こうした書類は経営者が1人で抱えがちです。院長1名とスタッフ6名の歯科医院様では、まず院長のPC1台からAIを使い始め、受付の担当者へ広げていく順番をとりました。進め方は歯科医院様の事例(CASE 02)をご覧ください。

雇い入れの書類以外にどの仕事から手をつけるか迷う場合は、AIに任せられる仕事の一覧を室ごとに並べています。総務まわりだけでも、下書きまでを任せられるものがいくつも見つかります。

こうして経営者の頭のなかにあった雇い方の決まりを、会社の側に残る形にしていく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

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