業務フロー図の作り方|手書きで描ける4つの記号と、AI(Claude)に下書きさせるプロンプト例【2026年版】

手順を説明するたびに言うことが変わる。人によってやり方が違うのに、どこが違うのかを説明できない。従業員10〜50名ほどの会社で、業務フロー図を作ろうと決めたものの、記号と線の決まりが分からないまま止まっている。その状況に向けて書いています。

結論からお伝えします。業務フロー図が完成しないのは、きれいに描こうとするからです。記号を全部覚える必要はありません。中小企業の現場で使うのは4つだけです。先に決めるのはどこからどこまでを1枚にするかで、線を引く作業ではありません。範囲さえ決まれば、手順を並べて図の下書きにするところはAIに任せられます。この記事では、覚える記号4つと1枚描くまでの4ステップ、コピーして使えるプロンプトをご紹介します。

業務フロー図が途中で止まる3つの理由

フロー図が完成しないのは、描く人の技量の問題ではありません。始める前に決めていないことが3つあって、そこで手が止まります。

止まる理由現場で起きること先に決めておくこと
範囲を切っていない受注から入金までを1枚に入れようとして、紙に収まらなくなる始まりの合図と終わりの合図を1つずつ決める
記号を調べはじめる作図ソフトの記号一覧を眺めているうちに、その日が終わる使う記号を4つに固定する
分岐を全部描こうとする例外処理が枝分かれして、本筋の線が見えなくなる例外は図に描かず、別の行に文章で書く

いちばん多いのは範囲です。「請求業務のフロー」と決めただけでは、どこから始まってどこで終わるのかが人によって違います。見積を出した時点から数える人と、納品が終わってから数える人が、同じ会議に座っています。

始まりと終わりは、出来事で決めてください。「注文書を受け取ったとき」から「入金を消し込んだとき」まで。合図が2つ決まれば、その間にあるものだけが図に入ります。

何を1枚にするかを選ぶ材料は、業務の一覧表です。作り方は業務の棚卸しのやり方にまとめています。一覧の中で、担当者が1人しかいない行から図にすると効きます。

覚える記号は4つだけ

作図の記号は日本産業規格(JIS X 0121)で決まっていますが、全部を使う場面は中小企業の現場にはほとんどありません。次の4つで、事務の流れはだいたい描けます。

記号意味書く言葉の型
端子角の丸い長方形始まりと終わり「注文書を受け取る」「入金を消し込む」
処理長方形誰かが手を動かす作業「見積書を作る」(動詞で終える)
判断ひし形はい・いいえで道が分かれる場所「与信の範囲内か?」(疑問形で書く)
書類下辺が波形の長方形紙やデータが生まれる場所「請求書」(名詞で書く)

この4つに絞る理由は、手書きできるからです。ホワイトボードに描けない図は、打ち合わせの場で直せません。直せない図は、そのまま古くなります。

縦に流すか横に流すかは、どちらでも構いません。ただし1枚の中では向きをそろえてください。線が上下左右に散った図は、清書しても読めません。

担当者が変わる場所は、線の脇に名前ではなく役割を書きます。「山田さん」ではなく「経理担当」。人の名前で描いた図は、その人が辞めた日に読めなくなります。

1枚描くまでの4ステップ

順番があります。いきなり図を描かず、話す・並べる・分ける・線でつなぐの4段階に分けてください。

#やること材料目安
1話す担当者に、先週その業務をやった順に話してもらう15分
2並べる話した内容を、時間順の箇条書きに直すAIに下書きさせて5分
3分ける各行を「作業」「判断」「書類」に仕分ける10分
4線でつなぐ仕分けた行を記号にして、上から順につなぐ15分

ステップ1で、いきなり図を見せないでください。記号の説明から入ると、担当者は自分の仕事ではなく作図の話を始めます。聞くのは「先週、この仕事をやった順番」だけで足ります。

ステップ2とステップ3が、AIの出番です。話し言葉を時間順に直して、作業と判断に仕分けるところは機械的な作業になります。この2つを人がやると、1業務あたり1時間近くかかります。(所要時間は当社が導入支援の場で実際に立ち会ったときの目安で、業務の複雑さによって変わります)

ステップ4は人の手で引いてください。線をどこに戻すかには判断が入るためです。手戻りの線を引く瞬間が、この作業でいちばん発見のあるところです。

AIに下書きさせるプロンプト3種

そのままコピーして使えます。3本を順番に使う前提で作っています。

1本目:話し言葉を時間順に直す

以下は、ある業務の進め方を担当者が話した内容の書き起こしです。
・時間順の箇条書きに直してください
・1行につき1つの動作にしてください
・話に出てこなかった手順を補わないでください
・順番が分からない箇所は「順序不明」と書いてください
(ここに書き起こしを貼る)

補わせないことが要点です。抜けている手順を勝手に埋められると、図が現場と合わなくなります。空欄のまま出てきた行が、あとで担当者に聞き直す場所になります。

2本目:作業・判断・書類に仕分ける

以下の箇条書きを、次の3つに仕分けて表にしてください。
・作業(人が手を動かすもの)
・判断(はい/いいえで道が分かれるもの)
・書類(紙やデータが生まれるもの)
判断に当たる行は、疑問形の1文に書き直してください。
どれにも当てはまらない行は「保留」に置いて、理由を1行添えてください。
(ここに1本目の出力を貼る)

3本目:図の下書きにする

以下の表を、フロー図の下書きとしてMermaid記法(flowchart TD)で書き出してください。
・作業は長方形、判断はひし形、始まりと終わりは角丸で表現してください
・判断からの線には「はい」「いいえ」のラベルを付けてください
・表にない分岐を作らないでください
・担当者が変わる箇所は、ノードの先頭に[経理担当]のように役割を書いてください
(ここに2本目の表を貼る)

Mermaid記法は、そのまま図として表示できる書き方です。作図ソフトを新しく買う必要はありません。出てきた文字列を清書用に使うか、ホワイトボードに書き写すかは、あとで決めれば足ります。

この3本を1回通すと、書き起こしから図の下書きまでが30分ほどで進みます。話を聞くところから記録に落とす流れはマニュアル・手順書づくりをAIに任せる方法と同じ組み立てです。

描いたあとに見る3か所

図は、描いて終わりではありません。できあがった1枚を、次の3か所だけ見てください。ここに、直せる場所が集まります。

見る場所見つかること打ち手の例
1人しか通らない線その人が休むと止まる場所手順書にする・2人目に通す
同じ書類が2回出てくる箇所同じ内容を2度入力している転記をやめて1か所にまとめる
前に戻る線(手戻り)確認漏れが後工程で見つかっている戻りの原因になっている判断を前に出す

手戻りの線は、図にすると一目で分かります。言葉で「たまに差し戻しがあります」と聞いても深刻さは伝わりませんが、線が3本戻っていれば会議の空気が変わります。

同じ書類が2回出てくる箇所は、そのままAIに渡せる仕事になりやすいところです。転記と集計は、判断を挟まない作業だからです。Excelでの集計を任せる手順はExcel・CSVの集計をAIに任せる方法にまとめています。

完成した図は、引き継ぎのときにそのまま使えます。1業務1枚に落とす形は引き継ぎ書の作り方と相性がよく、図を貼るだけで説明の量が減ります。

AIに任せてはいけないこと

AIが得意なのは形をそろえることで、その手順が実際にそう回っているかを知ることではありません。現場を見ていない答えは、もっともらしい形で出てきます。

任せてよい人が決める
話し言葉を時間順に直すその手順を本当にその順でやっているか
作業と判断に仕分ける省いてよい工程かどうか
図の下書きを書き出す手戻りの線をどこに引くか
書き方のばらつきを指摘させる図に載せない例外の線引き

いちばん危ないのは、AIに「一般的な業務フロー」を書かせて、それを自社の図として使うことです。形は整っていても、その会社が長年その順番でやっている理由が抜け落ちます。理由のある遠回りを、無駄として消してしまいます。

取引先名や担当者の氏名をそのまま貼るかどうかは、社内で先に決めておく話です。判断の目安は会社でAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。「A社」「経理担当」に置き換えれば、図を作る用途には足ります。

許認可や法定の手続きが含まれる業務(建設業の許可、産業廃棄物の処理、医療・介護の記録など)は、
法令で順序や保存の方法が決まっている部分があります。この記事では触れていません。
自社の業務がこれに当たる場合は、所管する官庁や、行政書士・社会保険労務士にご確認ください。

まず1業務・15分から始めてください

全部門ぶんを描くと決めると、たいてい着手が止まります。担当者が1人しかいない業務を1つ選んで、その1本だけを紙に描いてください。15分あれば形になります。

1本でも、たいてい何か見つかります。判断のひし形が1つも無い業務は、誰かが頭の中だけで判断している。書類が3回出てくる。詰まっている場所は、話しているときには見えず、線にした瞬間に見えます。

1本できたら、同じ書き方で次の業務に広げてください。1枚めができると、次からは同じ記号に当てはめるだけで済みます。最初に全社共通の様式を作ろうとすると、完成しないまま終わります。

担当者の頭の中にある手順を、会社の側に残る形にしていく流れはAI導入で何をつくるのかでご説明しています。

業務の流れを整理して、複数店舗の事務作業を1か所に集めた実例は、創業約50年の小売業様の事例(CASE 02)でご紹介しています。流れが見えると、どこをAIに渡せるかも見えてきます。

「あの人のやり方でしか回らない」
その1本を紙に描き出すところから、30分で一緒に整理できます。

まずは30分、話を聞いてみませんか

「うちの業務で使えるのか」を、実際にClaudeを動かしながらその場で確認できます。
ご契約前提でなくても大丈夫です。話を聞くだけのご利用も歓迎します。

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